子どもの成長にとって重要な幼児教育。保育園と幼稚園のどちらを選ぶべきか、その費用は家計にどれくらいの負担になるのか、多くの親御さんが頭を悩ませているのではないでしょうか。
この記事では、保育園と幼稚園それぞれの費用の実態、公立と私立の違い、無償化制度の詳細、さらには費用負担を軽減するための方法まで、入園前に知っておくべき費用に関する情報を徹底解説します。子育て家庭の適切な園選びと家計管理に役立つ情報をお届けします。
保育園と幼稚園の基本的な違いと費用の仕組み
子どもの教育・保育施設を選ぶ際、まずは保育園と幼稚園の基本的な違いを理解することが大切です。それぞれの特徴や費用構造を知ることで、ご家庭に合った選択ができるようになります。
保育園と幼稚園の役割の違い
保育園と幼稚園は、その成り立ちから役割が異なります。保育園は厚生労働省管轄の「児童福祉施設」であり、主に保護者が働いていたり、病気などで子どもの保育が困難な家庭をサポートする施設です。一方、幼稚園は文部科学省管轄の「学校教育施設」として、子どもの教育を主な目的としています。
この違いから、保育園は0歳から就学前までの子どもを長時間預かるのに対し、幼稚園は原則3歳から就学前までの子どもを教育時間内(多くは午前中から午後2時頃まで)預かります。また、近年は「認定こども園」など、両方の機能を持つ施設も増えてきています。
それぞれの運営主体と利用条件
運営主体による違いも、費用に大きく影響します。保育園には公立(自治体運営)、私立(社会福祉法人や企業などが運営)の他に、認可保育園と認可外保育園の区分があります。認可保育園は国の基準を満たし、自治体から運営費の補助を受けているため、比較的低価格で利用できます。
一方、幼稚園も公立と私立があり、特に私立幼稚園は独自の教育方針や特色あるカリキュラムを持つことが多く、その分費用も異なります。幼稚園を利用するには、保育の必要性の認定は原則として必要ありませんが、保育園を利用するには、保護者の就労状況などによる「保育の必要性」が認められなければなりません。
基本的な費用体系の比較
保育園の費用は、保護者の所得に応じた応能負担が基本となっています。特に認可保育園では、住民税の課税額や世帯収入によって保育料が決まります。なお、0〜2歳児は所得に応じた保育料がかかりますが、3〜5歳児は2019年10月からの無償化により基本的な保育料は無料になっています。
一方、幼稚園の費用は、公立と私立で大きく異なります。公立幼稚園は比較的低額ですが、私立幼稚園は園によって授業料や入園金などに差があります。幼稚園も3〜5歳児は無償化の対象ですが、私立幼稚園の場合は月額25,700円までが無償化の上限となります。
また、認可外保育施設や一時預かり、病児保育などを利用する場合も、条件を満たせば無償化の対象になりますが、こちらも上限額が設けられています。3〜5歳児の場合は月額37,000円、0〜2歳児の住民税非課税世帯の場合は月額42,000円が上限です。
どの施設も給食費や教材費、行事費、制服代など、無償化の対象とならない実費負担があることも覚えておきましょう。
項目 | 保育園 | 幼稚園 |
役割 | 児童福祉施設 | 学校教育施設 |
管轄 | 厚生労働省 | 文部科学省 |
保育時間 | 長時間(8〜11時間程度) | 教育時間(4〜6時間程度) |
運営主体 | 私立または公立 | 私立または公立 |
利用条件 | 保育の必要性の認定が必要 | 特になし(*園独自の選考があることも) |
基本保育料(3〜5歳) | 無償 | 無償(私立は上限あり) |
保育園にかかる費用を詳しく解説
保育園の費用は、認可・認可外の違いや子どもの年齢、世帯収入によって大きく変わります。ここでは、保育園にかかる実際の費用について詳しく見ていきましょう。
認可保育園と認可外保育園の費用差
認可保育園と認可外保育園では、費用面で大きな差があります。認可保育園は国の基準を満たし、自治体から運営費の補助を受けているため、保護者の負担は比較的軽くなっています。先述の通り、保育料は自治体が定める基準に従って、世帯の所得に応じて決定されます。ただし、住民税非課税世帯や3〜5歳児は無償化の対象となります。
一方、認可外保育園は各施設が独自に保育料を設定しており、施設によっては認可保育園よりも高額になることがあります。特に、英語教育などの特色ある教育を行うインターナショナルプリスクールなどでは、月々の保育料が10万円を超えることも珍しくありません。
年齢別にみる保育料の相場
保育園の費用は子どもの年齢によっても異なります。0〜2歳児は人手がかかるため保育料が高く、3歳以上になると保育料が下がる傾向にあります。
認可保育園における0〜2歳児の保育料相場は、世帯収入によって大きく異なりますが、一般的には月額数千円から8万円程度の範囲です。
認可外保育園の場合は園によって異なりますが、0〜2歳児で月額5万円から15万円程度、3〜5歳児で月額4万円から12万円程度が相場です。ただし、そのうち、0〜2歳児の場合は月額4.2万円まで、3〜5歳児は月額37,000円まで補助の対象となります。
世帯収入による保育料の変動
認可保育園では、世帯の所得状況によって保育料が決定される応能負担制が採用されています。具体的には、住民税の課税額をもとに、自治体が定める基準に従って保育料が決まります。
例えば、年収300万円未満の世帯と年収700万円以上の世帯では、0〜2歳児の保育料に3倍以上の差がつくこともあります。自治体によって基準は異なりますが、一般的に年収が高くなるほど保育料も高くなる傾向にあります。
保育園での追加費用の内訳
保育園を利用する際には、基本保育料以外にもさまざまな追加費用がかかります。これらの追加費用は無償化の対象外となるため、実質的な負担として考慮する必要があります。
- 給食費(主食費・副食費):月額4,500〜6,000円程度
- 教材費:月額500〜2,000円程度
- 行事費:遠足や運動会などの行事ごとに実費負担
- 制服代・体操服代:入園時に10,000〜30,000円程度
- 保護者会費:月額300〜1,000円程度
- 写真代:希望者のみで実費負担
これらの追加費用は園によって大きく異なりますので、入園前に詳細を確認しておくことをおすすめします。
延長保育や一時保育にかかる費用
通常の保育時間を超えて子どもを預けたい場合や、急な用事で一時的に保育が必要になった場合には、別途費用がかかります。延長保育料は1時間あたり数百円から千円程度が相場で、月単位で定額制になっている園もあります。
休日保育や病児・病後児保育などの特別なサービスを利用する場合も、別途費用がかかることが多いです。これらのサービスは自治体や施設によって提供状況が異なりますので、必要に応じて確認しましょう。
幼稚園の費用構造とその特徴
幼稚園は教育施設としての側面が強く、保育園とは異なる費用構造を持っています。公立と私立の違いや、特色ある教育活動による費用の違いなど、幼稚園特有の費用についてみていきましょう。
公立幼稚園と私立幼稚園の費用比較
公立幼稚園と私立幼稚園では、費用面で大きな差があります。公立幼稚園は自治体が運営しているため、入園料や保育料は比較的低く抑えられています。無償化前の公立幼稚園の保育料は月額数千円から2万円程度でしたが、無償化により基本的な保育料は無料になりました。
一方、私立幼稚園は各園が独自に設定した保育料を徴収しており、園の立地や教育内容によって大きく異なります。一般的には月額2万円から4万円程度が相場ですが、都市部の人気園では5万円を超えることもあります。
入園時にかかる初期費用の実態
幼稚園に入園する際には、様々な初期費用がかかります。入園料や入園準備金は、公立幼稚園では数千円から1万円程度ですが、私立幼稚園では5万円から20万円以上かかることもあります。これらの初期費用は無償化の対象外となるため、全額保護者負担となります。
その他、入園時には以下のような費用がかかります。
- 制服代:10,000〜30,000円程度
- 体操服代:5,000〜15,000円程度
- 通園バッグ・上履き・帽子などの用品代:10,000〜20,000円程度
- 教材費・絵本代:5,000〜10,000円程度
これらの初期費用は園によって大きく異なり、特に私立幼稚園では合計で10万円から30万円程度かかることも珍しくありません。入園前に詳細な費用を確認し、準備しておくことが大切です。
月々の基本費用と追加費用
幼稚園の月々の費用には、基本保育料以外にもさまざまな追加費用があります。無償化の対象となるのは基本保育料のみで、その他の費用は実費負担となります。
- 給食費(主食費・副食費):月額4,500〜6,000円程度
- 教材費・絵本代:月額500〜2,000円程度
- PTA会費:月額300〜1,000円程度
- 冷暖房費:季節により実費
- バス通園費(利用者のみ):月額3,000〜5,000円程度
これらを合わせると、実質的な負担は月額1万円前後が一般的です。特に私立幼稚園では、特色ある教育活動のための費用が別途かかることもありますので、入園前に詳細な費用体系を確認しておくとよいでしょう。
預かり保育や課外活動による費用増
近年、多くの幼稚園では教育時間後の「預かり保育」を実施しています。預かり保育を利用すると、基本の教育時間以外にも子どもを園に預けることができますが、別途費用がかかります。一般的には1回300円から1,000円程度、または月単位で数千円から1万円程度の定額制となっています。
ただし、共働き家庭など「保育の必要性」が認められる場合は、預かり保育の利用料も月額11,300円まで無償化の対象となります。認定を受けるためには市区町村に申請が必要ですので、利用を検討している場合は早めに手続きを進めましょう。
保育園・幼稚園費用の負担を軽減する方法
保育園や幼稚園にかかる費用は、家計の大きな負担となることがあります。ここでは、その負担を軽減するためのさまざまな制度や方法についてご紹介します。
幼児教育・保育の無償化制度を最大限活用する
2019年10月からスタートした幼児教育・保育の無償化制度は、子育て家庭の経済的負担を大きく軽減する制度です。この制度を最大限活用するためには、対象となる施設や条件、申請方法などを正確に理解しておくことが重要です。
施設やご家庭によって内容が異なるので、検討中の園が対象となるのか、上限はいくらかなどをしっかり確認するようにしましょう。不安な箇所がある場合は、自治体の窓口に相談すると正確な情報を得ることができます。
自治体独自の補助金制度を確認する
多くの自治体では、国の無償化制度に加えて独自の補助金制度を設けています。自治体によっては、保育料の軽減や給食費の補助、入園料の補助など、さまざまな支援制度があります。これらの制度を活用することで、さらに費用負担を軽減できる可能性があります。
これらの補助金制度は自治体によって大きく異なり、また年度ごとに変更されることもありますので、お住まいの自治体の公式ウェブサイトや窓口で最新情報を確認しましょう。申請が必要な制度も多いので、期限にも注意が必要です。
兄弟姉妹がいる場合の割引制度
複数のお子さんが同時に保育園や幼稚園などを利用している場合、費用負担を軽減する「多子軽減」制度があります。入園金や制服代などが割引になることもありますので、兄弟姉妹で同じ園に通わせることも費用面ではメリットとなり得ます。
多子軽減制度は自治体や園によって適用条件が異なりますので、事前に確認しておくとよいでしょう。
入園選びで費用以外に考慮すべきポイント
保育園や幼稚園を選ぶ際には、費用面だけでなく、さまざまな要素を総合的に考慮することが大切です。ここでは、費用以外に考慮すべき重要なポイントについて解説します。
家庭の生活スタイルと施設の相性
園選びで最も重要なポイントの一つは、家庭の生活スタイルと施設の相性です。共働き家庭か、片働き家庭か、また働き方の形態によって最適な施設のタイプは異なります。
また、通勤経路や勤務時間なども考慮し、登園・降園のしやすさや、急な残業や出張の際の対応なども事前に確認しておくことが大切です。自分たちの生活スタイルに合った施設を選ぶことで、日々の負担を軽減し、子どもにとっても安定した環境を提供することができます。
教育方針と子どもの性格の合致
子どもの性格や特性と、園の教育方針との相性も重要な選択基準です。園によって教育方針は大きく異なり、子どもの自主性を重視する園もあれば、しっかりとした枠組みの中で集団行動を学ばせる園もあります。
また、特定の分野に興味がある子どもには、その分野に力を入れている園を選ぶことで、才能を伸ばす機会を提供できるかもしれません。園見学やオープンスクールに参加して、実際の保育や教育の様子を見学し、子どもの性格との相性を感じ取ることが大切です。
立地条件と通園の便利さ
毎日の通園を考えると、立地条件も重要な選択基準となります。自宅や職場からのアクセスの良さ、通園手段(徒歩、自転車、車、公共交通機関、園バスなど)の有無は、日々の生活の負担に直結します。
園の周辺環境も子どもの安全や教育環境に影響します。自然が豊かな環境にある園、地域との交流が盛んな園、交通量の多い道路に面していない園など、立地条件によるメリットやデメリットを考慮して選ぶことも大切です。
卒園後の進学先との連携
長期的な視点で考えると、卒園後の進学先との連携も考慮すべきポイントです。特に私立幼稚園では、系列の小学校との連携があり、内部進学の制度がある場合もあります。
地域によっては特定の幼稚園や保育園から特定の小学校に多くの子どもが進学するという傾向もあります。同じ小学校に進学する友達がいることは、子どもの小学校生活へのスムーズな適応に役立つ場合もあります。
ただし、卒園後の進学先だけで園を決めるのではなく、子どもの現在の幸せや成長も同様に重要であることを忘れないようにしましょう。
まとめ
保育園と幼稚園の費用について、基本的な違いから実際にかかる費用、費用負担を軽減する方法まで詳しく解説してきました。保育園は0歳から利用でき長時間保育が可能ですが、幼稚園は教育に重点を置いた施設です。どちらを選ぶにしても、無償化制度や自治体の補助金制度を活用することで、家計の負担を軽減できる可能性があります。
園選びでは費用面だけでなく、家庭の生活スタイル、子どもの性格、立地条件なども総合的に考慮することが大切です。これから入園を検討されるご家庭は、オープンスクールや見学会に参加して実際の雰囲気を確認し、複数の選択肢を比較検討されることをおすすめします。子どもの成長にとって最適な環境を選ぶための一助として、この記事が役立てば幸いです。ることをおすすめします。しながら、自分らしい両立スタイルを見つけていきましょう。
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