働きながら管理栄養士の資格取得を目指す方は増えています。栄養の専門家として活躍するためには、国家資格である管理栄養士の資格が大きな強みとなります。しかし、仕事と両立しながら効率的に資格を取得するには、自分に合ったルートや学習方法を選ぶ必要があります。
この記事では、社会人が管理栄養士を目指す際の現実的な資格取得ルートや費用、勉強法、そして資格取得後のキャリアパスまで詳しく解説します。ご自身の状況に最適な管理栄養士への道を見つけるヒントとして、ぜひ参考にしてください。
目次
管理栄養士になるには?資格取得の基本要件を知ろう
管理栄養士を目指すなら、まずは資格の基本的な要件や試験の概要を理解することが大切です。ここでは管理栄養士資格の基本情報から最新の合格率データまでを確認していきましょう。
管理栄養士とは?栄養士との違い
管理栄養士は、栄養の指導や管理を行う国家資格を持った専門家です。一般的な栄養士と混同されがちですが、両者には明確な違いがあります。栄養士は都道府県知事から与えられる免許で、基本的な栄養指導ができる資格です。一方、管理栄養士は厚生労働大臣から与えられる国家資格であり、より高度な栄養管理や指導が行える専門職となります。
具体的には、管理栄養士は病院での治療食の提案や栄養指導、特定保健指導など医療的な観点からの栄養管理も担当できます。また、傷病者に対する療養のための必要な栄養指導や、特定多数人に対して継続的に食事を提供する施設における利用者の身体状況、栄養状態、利用の状況等に応じた特別な配慮を必要とする給食管理なども管理栄養士の独占業務となっています。
管理栄養士になるための基本的な資格要件
管理栄養士になるためには、主に以下のルートがあります。
- 管理栄養士養成施設を卒業し、国家試験に合格する
- 栄養士の資格を取得した後、一定の実務経験を積んだ上で国家試験に合格する
特に2つ目のルートでは、栄養士として働いた実務経験年数によって受験資格の条件が異なります。具体的には以下のとおりです。
- 2年制の栄養士養成施設を卒業した場合、3年以上の実務
- 3年制の栄養士養成施設を卒業した場合、2年以上の実務
- 4年制の栄養士養成施設を卒業した場合、1年以上の実務
このように、最短ルートは管理栄養士養成施設を卒業して直接国家試験を受験するか、4年制大学の栄養士課程を卒業後、1年間の実務経験を積んでから受験するルートとなります。働きながら管理栄養士を目指す場合は、自分の学歴や状況に応じた最適なルートを選択することが重要です。
管理栄養士国家試験の概要と出題内容
管理栄養士国家試験は毎年1回(例年3月頃)実施され、マークシート方式で行われます。試験は1日で完結し、試験時間は午前10時から午後4時15分までの計5時間15分と長時間に及びます。
試験内容は以下の9分野から構成されています。
分野 | 出題数 |
社会・環境と健康 | 17問 |
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち | 27問 |
食べ物と健康 | 25問 |
基礎栄養学 | 14問 |
応用栄養学 | 16問 |
栄養教育論 | 15問 |
臨床栄養学 | 28問 |
公衆栄養学 | 18問 |
給食経営管理論 | 20問 |
応用試験 | 20問 |
合計200問の出題があり、合格基準は総合点で約60%となっています。特に「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち」と「臨床栄養学」は出題数が多く、医学的な知識も問われるため、社会人が独学で勉強する場合には重点的に学習する必要がある分野です。
最新の合格率データからみる難易度
管理栄養士国家試験の難易度を把握するには合格率のデータが参考になります。2025年(第39回)の管理栄養士国家試験における全国平均合格率は48.1%でした。合格率は年度によって変動がありますが、おおむね50〜65%程度で推移しており、決して低い数字ではないものの、半数近くが不合格となる試験であることがわかります。
出身校別の合格率データを見ると、管理栄養士を目指すルートによる差が大きいことがわかります。例えば、栄養士養成施設を卒業した新卒の合格率は80.1%と高い合格率を誇っています。一方で、実務経験者(いわゆる社会人ルート)の合格率は11.7%と低い割合になっています。これは、実務経験者は学校で系統的に学んだ知識と比較して、実践的な経験は豊富でも理論的知識に不足がある場合があるためと考えられます。
働きながら管理栄養士を目指す場合、この合格率の差を認識し、体系的な学習計画を立てることが重要です。特に実務経験ルートで受験する場合は、より計画的な学習と試験対策が必要となるでしょう。
働きながら管理栄養士になるための複数のルート
働きながら管理栄養士を目指す場合、いくつかの資格取得ルートがあります。それぞれのルートにはメリット・デメリットがあるため、自分の状況に最適な方法を選ぶことが大切です。ここでは具体的なルートとその特徴を解説します。
4年制大学進学ルート(管理栄養士養成課程)
4年制大学の管理栄養士養成課程に入学するルートは、最も王道的な方法です。このルートの最大のメリットは、卒業と同時に管理栄養士国家試験の受験資格が得られる点です。また、体系的なカリキュラムで学べるため、合格率も比較的高くなっています。
社会人が働きながらこのルートを選ぶ場合、以下の選択肢があります。
- 夜間部や週末コースのある大学を選ぶ
- 通信制大学の管理栄養士養成課程を活用する
- 勤務形態を調整して昼間部に通学する(時短勤務、シフト制勤務など)
費用面では、国公立大学で約240万円、私立大学で約400〜600万円程度の学費が必要です。通学期間は基本的に4年間となりますが、社会人編入制度を利用すれば2〜3年に短縮できる場合もあります。働きながら4年間通うのは体力的・経済的にも負担が大きいというデメリットはありますが、確実に資格取得を目指すならこのルートが最も確実と言えるでしょう。
栄養士から管理栄養士へのステップアップルート
すでに栄養士として働いている方にとって、実務経験を活かして管理栄養士を目指すルートは現実的な選択肢です。このルートでは、栄養士としての実務経験を積んだ後、管理栄養士国家試験を受験します。
必要な実務経験年数は次のように異なります。
最終学歴 | 必要な栄養士実務経験 |
4年制大学の栄養士養成課程卒 | 1年以上 |
3年制大学の栄養士養成課程卒 | 2年以上 |
2年制大学の栄養士養成課程卒 | 3年以上 |
このルートのメリットは、働きながら資格取得を目指せる点と、実務経験がそのまま受験資格になることです。ただし、実務経験者の合格率は新卒者と比べて低い傾向にあるため、試験対策には十分な時間をかける必要があります。
また、栄養士として働いていない方は、まず栄養士の資格を取得してから実務経験を積む必要があるため、キャリアチェンジを考えている方には時間がかかるルートとなります。
専門学校を活用したルート(昼間・夜間・通信)
専門学校は栄養士の資格を取得するための教育機関として多く存在します。働きながら資格取得を目指す場合、夜間部や通信教育課程のある専門学校を選ぶことで、仕事と学業の両立が可能です。
専門学校の種類は主に以下の3つです。
- 昼間部:平日の日中に授業が行われる通常の課程
- 夜間部:平日の夕方以降に授業が行われる課程
- 通信教育課程:自宅学習を中心に、スクーリング(面接授業)を組み合わせた課程
専門学校のメリットは、比較的短期間(2年程度)で栄養士の資格が取得できる点と、実践的なカリキュラムで学べる点です。費用も大学と比較すると安く、約150〜250万円程度が目安となります。
ただし、専門学校卒業後は栄養士の資格しか得られないため、管理栄養士を目指すには卒業後に3年以上の実務経験を積む必要があります。また、専門学校選びでは「厚生労働大臣指定の栄養士養成施設」であるかどうかを必ず確認することが重要です。認可されていない学校では、卒業しても栄養士の資格が取得できない場合があります。
短期大学と編入学を組み合わせたルート
時間的制約を考慮した効率的なルートとして、短期大学から4年制大学への編入学を組み合わせる方法があります。このルートでは、まず栄養士養成課程のある短期大学(2年制)で学び、栄養士の資格を取得します。その後、管理栄養士養成課程のある4年制大学の3年次に編入学し、卒業と同時に管理栄養士国家試験の受験資格を得ることができます。
このルートのメリットは、4年制大学に最初から入学するよりも総学習期間が短く(2年+2年=4年)、費用も抑えられる可能性がある点です。また、編入学試験では社会人特別枠を設けている大学もあるため、働きながら学ぶ社会人にとって選択肢の一つとなります。
ただし、編入学枠は限られており、試験も比較的難易度が高いことがデメリットとして挙げられます。また、すべての大学が編入学制度を設けているわけではなく、編入後の単位認定の状況によっては2年以上かかる場合もあるため、事前に十分な情報収集が必要です。
社会人向け入試制度の活用法
近年、多くの大学や専門学校では社会人入試制度を設けています。これは一般的な入試とは異なり、社会人経験者向けに特別な入試方式を用意し、学ぶ意欲のある社会人に門戸を開く制度です。
社会人入試では、以下のような特徴があります。
- 一般入試よりも受験科目が少ない(小論文と面接のみなど)
- 社会人としての経験や意欲を評価
- 年齢制限がある場合(例:22歳以上)
- 社会人枠として定員が設けられている
管理栄養士養成課程のある学校でも社会人入試を実施しているところが増えています。例えば、名古屋学芸大学では社会人特別選抜を実施しており、書類審査と面接で合否を判定しています。
社会人入試を活用する際のポイントは、自分のキャリアプランや学びたい理由を明確にすることです。特に面接では「なぜ管理栄養士を目指すのか」「どのようにして仕事と学業を両立させるか」といった質問が想定されるため、具体的な計画を練っておくことが重要です。
働きながら管理栄養士を目指す際の現実的な課題
働きながら管理栄養士の資格取得を目指す場合、時間や費用などさまざまな課題に直面します。ここでは、そうした現実的な課題とその解決策について詳しく解説します。
時間管理と学習計画の立て方
働きながら学ぶ最大の課題は時間の確保です。フルタイムで働きながら学習時間を確保するためには、効率的な時間管理が欠かせません。限られた時間を最大限に活用するためには、計画的な学習スケジュールの立案が重要です。
効果的な時間管理のポイントとして、以下の方法があります。
- 朝型生活にシフトし、出勤前の1〜2時間を学習時間に
- 通勤時間を活用した音声学習や暗記
- 週末にまとまった学習時間を確保(4〜6時間×2日)
- 月単位、週単位、日単位の学習計画を立てる
- 業務効率化や家事の簡略化で時間を捻出
特に重要なのは「継続できる計画」を立てることです。無理な計画は長続きしないため、自分のライフスタイルに合わせた現実的な学習計画を立てましょう。例えば、平日は1日1〜2時間、週末は3〜4時間というように、無理のない範囲で習慣化することがポイントです。
また、1〜2年という長期的な視点で学習計画を立てることも大切です。管理栄養士試験は広範囲からの出題があるため、焦って詰め込み学習をするより、計画的に少しずつ進める方が効果的です。
資格取得にかかる費用と期間
管理栄養士の資格取得にかかる費用と期間は、選択するルートによって大きく異なります。それぞれの概算費用と期間を以下にまとめました。
ルート | 費用(概算) | 期間 |
4年制大学(管理栄養士養成課程) | 国公立:約240万円 私立:約400〜600万円 | 4年 |
専門学校(栄養士養成課程)+実務経験 | 約150〜250万円 | 2年+実務3年=5年 |
短大+4年制大学編入 | 約300〜400万円 | 2年+2年=4年 |
実務経験者の受験対策(すでに栄養士資格あり) | 約30〜50万円(受験対策費用) | 6ヶ月〜1年 |
これらの費用には、授業料だけでなく、教材費、実習費、交通費なども含まれます。また、国家試験の受験料(約1万円)や、受験対策のための通信講座や模擬試験の費用(約10〜30万円)も別途必要になることを考慮しておきましょう。
働きながら学ぶ場合、収入は維持できますが、時間的制約から卒業までに通常より長くかかる可能性もあります。また、働き方によっては収入が減る場合もあるため、長期的な資金計画も重要です。
社会人学生向け奨学金・教育ローンの活用法
学費の負担を軽減するために、社会人学生向けの奨学金や教育ローンの活用を検討しましょう。以下に主な支援制度をご紹介します。
- 日本学生支援機構の奨学金
- 第一種奨学金(無利子)
- 第二種奨学金(有利子)
- 社会人の場合も年齢制限なく申請可能
- 教育訓練給付金制度
- 厚生労働大臣指定の教育訓練を受講した場合、費用の最大70%(上限56万円)が支給
- 一定の条件(雇用保険の加入期間が3年以上など)を満たす必要あり
- 企業の教育支援制度
- 勤務先の福利厚生として資格取得支援制度がある場合も
- 受験料や学費の一部補助、試験休暇の付与など
- 教育ローン
- 国の教育ローン(日本政策金融公庫):年利1.95%(2023年10月現在)
- 民間銀行の教育ローン:銀行によって金利条件が異なる
特に教育訓練給付金制度は社会人にとって大きな支援となります。指定された学校で学ぶ場合、最大で学費の7割が支給されるため、事前に対象校かどうか確認することをおすすめします。
また、奨学金や教育ローンを利用する際は、卒業後の返済計画も含めた資金計画を立てることが重要です。無理のない返済計画を立てて、将来の負担にならないようにしましょう。
職場の理解を得るためのアプローチ
働きながら学ぶためには、職場の理解と協力が不可欠です。特に通学が必要な場合は、勤務時間の調整や休暇取得について職場と交渉する必要があるでしょう。
職場の理解を得るためのアプローチとして、以下の点が重要です。
- 資格取得の目的と会社へのメリットを明確に伝える
- 具体的な学習計画と業務への影響を事前に説明
- 業務に支障が出ないよう自分なりの対策を提案
- 上司だけでなく同僚にも協力を依頼
- 会社の制度(時短勤務、休職制度、学び直し支援など)を活用
例えば、「管理栄養士の資格を取得することで、○○の業務に活かせる」「週○日は定時退社させていただきたい」といった具体的な提案をすることで、上司も判断しやすくなります。
資格取得が会社にとってもプラスになることを強調し、Win-Winの関係性を構築することが大切です。特に、現在の職場が医療機関や福祉施設、給食関連企業などであれば、管理栄養士資格の取得は業務の質向上につながるため、理解を得やすいでしょう。
管理栄養士になるには実践的な学習戦略が重要
管理栄養士の国家試験合格には、系統的な知識と効率的な学習が欠かせません。特に働きながら学ぶ場合は、限られた時間で最大の効果を出す学習戦略が重要になります。ここでは実践的な学習方法を解説します。
効率的な学習方法とおすすめ参考書
管理栄養士試験の範囲は広く、9科目にわたるため、体系的な学習計画が必要です。効率的に学習するためには、各科目の重要度を把握し、弱点分野を重点的に学ぶことが大切です。
まず、管理栄養士試験対策におすすめの参考書をご紹介します。
- 『管理栄養士国家試験 過去問解説集』(中央法規出版)
過去5年分の問題と詳細な解説が掲載されており、出題傾向の把握に最適 - 『クエスチョン・バンク 管理栄養士国家試験問題解説』(メディックメディア)
頻出問題を中心に解説されており、効率的な学習が可能 - 『管理栄養士国家試験 合格のためのワークノート』(女子栄養大学出版部)
重要ポイントを1冊にまとめた、忙しい社会人向けの参考書 - 『レビューブック 管理栄養士』(メディックメディア)
コンパクトにまとめられた参考書で、通勤時間などの隙間時間学習に最適
効率的な学習方法として、以下のアプローチがおすすめです。
- まず過去問を解いて自分の弱点分野を把握する
- 弱点分野を中心に基礎からしっかり学ぶ
- 理解した内容は暗記カードやノートにまとめる
- 通勤時間や休憩時間に暗記カードを活用する
- 定期的に過去問を解き直し、理解度をチェックする
特に、管理栄養士試験は暗記だけでなく、応用力も問われるため、単なる丸暗記ではなく「なぜそうなるのか」という理解を深めることが重要です。また、科目ごとに学習するよりも、関連する内容をまとめて学ぶことで、効率よく理解を深められます。
模擬試験と過去問の活用法
管理栄養士試験対策において、模擬試験と過去問題集は非常に重要なツールです。過去問を解くことで出題傾向や頻出分野を把握でき、模擬試験で実践的な試験対策ができます。
効果的な過去問活用のステップは以下の通りです。
- まずは時間を気にせず、じっくり解いてみる
- 間違えた問題とその正解を必ずノートに書き出す
- なぜ間違えたのかを分析し、関連知識を補強する
- 2週間後に同じ問題を再度解き、定着度を確認する
- 試験直前期には時間を計って本番さながらに解く
また、市販されている模擬試験や予備校が実施する模擬試験を積極的に活用することも重要です。模擬試験には以下のメリットがあります。
- 実際の試験時間(5時間15分)での集中力の維持を練習できる
- 出題傾向を踏まえた最新の問題に触れられる
- 自分の現在の実力レベルや弱点を客観的に把握できる
- 合格ラインを意識した学習のモチベーション維持につながる
特に働きながら学ぶ場合、限られた学習時間を効率的に使うために、模擬試験の結果分析が重要です。模擬試験で間違えた問題や苦手な分野を重点的に復習することで、効率的に学力を向上させることができます。
オンライン学習リソースの活用術
近年、インターネットを活用した学習リソースが充実しており、働きながら学ぶ人にとっては大きな味方となります。時間や場所を選ばずに学習できるオンラインツールを活用することで、学習効率を高めることができます。
管理栄養士試験対策に役立つオンライン学習リソースには以下のようなものがあります。
- オンライン予備校
- 資格スクエア、ユーキャン、LEC東京リーガルマインドなど
- 講義動画が視聴でき、自分のペースで学習可能
- 学習アプリ
- Anki、Quizletなどの暗記アプリ
- 通勤時間や休憩時間に効率よく暗記学習が可能
- オンライン問題集
- スタディングなどのサービスで、スマホやPCで過去問演習が可能
- 解説動画や解説資料も充実
- SNSやYouTube
- 管理栄養士資格保持者による解説動画や勉強法の共有
- 専門家が運営するブログやTwitterでの最新情報収集
オンライン学習リソースを活用する際のポイントは、自分の学習スタイルに合ったものを選ぶことです。例えば、動画講義で理解しやすいタイプなら動画中心のコンテンツを、テキストでしっかり読み込むタイプならEブックや電子教材を中心に選ぶとよいでしょう。
また、有料コンテンツを利用する場合は、無料お試し期間などを活用して自分に合っているかを確認してから契約することをおすすめします。
勉強会・コミュニティへの参加メリット
一人で学習を続けるのは時に孤独で、モチベーション維持が難しくなることもあります。そんな時は、同じ目標を持つ仲間と一緒に学ぶ勉強会やコミュニティに参加することで、学習効果を高め、継続的なモチベーションを維持することができます。
勉強会やコミュニティ参加のメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 情報共有による効率的な学習(参考書の選び方、効果的な勉強法など)
- 互いに教え合うことによる理解の深化
- 定期的な集まりによる学習ペースの維持
- モチベーション維持や精神的サポート
- すでに合格した先輩からのアドバイス取得
近年ではオフラインだけではなく、オンラインのコミュニティもあり、両方で探すことができます。
- オフライン勉強会
- 予備校や専門学校が開催する勉強会
- 図書館や公共施設で自主的に開催される勉強会
- 職場の同僚で勉強会を組織
- オンラインコミュニティ
- SNS(Twitter、Facebook)のグループやハッシュタグ
- 専用のSlackやDiscordグループ
- ZoomやGoogle Meetを活用したオンライン勉強会
特に働きながら学ぶ社会人にとっては、時間や場所に縛られないオンラインコミュニティが便利です。例えば、「#管理栄養士試験」などのハッシュタグで検索すると、同じ目標を持つ人たちとつながることができます。
また、勉強会に参加する際は、自分の目標や学習ペースに合ったコミュニティを選ぶことが大切です。無理に合わせるのではなく、自分のペースを尊重しながら、互いに高め合える関係を築くとよいでしょう。
管理栄養士資格取得後のキャリアパスと就職状況
管理栄養士の資格を取得した後、どのようなキャリアパスがあるのか、どのような職場で活躍できるのかを知ることは、資格取得の目標設定にも役立ちます。ここでは、資格取得後の具体的な就職先や待遇、キャリアパスについて解説します。
管理栄養士として働ける職場の選択肢
管理栄養士の資格を持っていると、さまざまな分野で活躍することができます。資格取得後の主な就職先としては、医療機関、福祉施設、学校、企業、行政機関などがあり、それぞれ求められる役割や業務内容が異なります。
管理栄養士の主な就職先と業務内容を以下にまとめました。
就職先 | 主な業務内容 |
医療機関(病院、クリニック) | ・入院患者の栄養管理 ・栄養指導(糖尿病、高血圧など) ・病院給食の管理 |
福祉施設(老人ホーム、介護施設) | ・高齢者の栄養ケア・マネジメント ・嚥下障害に配慮した食事提供 ・施設給食の管理 |
学校(小中高校、大学) | ・学校給食の献立作成と栄養管理 ・食育指導 ・アレルギー対応食の提供 |
保健所・保健センター | ・市民向け栄養相談 ・健康教室の企画・運営 ・特定保健指導 |
企業(食品メーカー、外食産業) | ・商品開発 ・メニュー開発 ・栄養成分表示の監修 |
スポーツ関連施設 | ・アスリートの栄養サポート ・パフォーマンス向上のための食事指導 ・体組成管理 |
フリーランス | ・料理教室の開催 ・栄養コンサルタント ・メディア出演・執筆活動 |
最近では、企業の健康経営推進に伴い、企業内で社員の健康管理を担当する管理栄養士の需要も増えています。また、スポーツ栄養士やフードコーディネーターなど、専門分野に特化したキャリアを選択することも可能です。
働きながら資格を取得した場合、現在の職場でキャリアアップするという選択肢もあります。特に医療・福祉関連の職場であれば、資格取得により業務範囲の拡大や昇給につながる可能性が高いでしょう。
業界別の平均年収と待遇
管理栄養士の年収や待遇は、働く業界や勤続年数、勤務形態によって大きく異なります。一般的に、管理栄養士の平均年収は400万円〜500万円程度とされていますが、業界別にはかなりの差があります。
業界別の平均年収の目安は以下の通りです。
- 病院(常勤):400万円〜550万円
- 福祉施設:380万円〜500万円
- 学校給食:350万円〜450万円
- 保健所・行政機関:450万円〜600万円
- 食品メーカー:450万円〜700万円
- ドラッグストア・薬局:400万円〜500万円
- スポーツ施設:400万円〜600万円
一般的に公務員(保健所など)や大手企業の待遇が良い傾向にあります。また、経験年数が長くなるほど、管理職になるほど年収は上がります。特に病院では、栄養部門のマネージャーになると600万円以上の年収も珍しくありません。
待遇面では、正規雇用と非正規雇用で大きな差があります。パート・アルバイトでの採用も多く、その場合は時給1,200円〜1,800円程度が相場です。また、病院や福祉施設など24時間体制の施設では、シフト制勤務となる場合が多いことにも注意が必要です。
特定分野でのスペシャリスト化のメリット
管理栄養士として長く活躍するためには、特定の分野でスペシャリスト化することも重要な選択肢です。特定分野に特化することで、より専門的なスキルや知識を身につけ、高い市場価値を持つことができます。
管理栄養士のスペシャリスト分野としては、以下のようなものがあります。
- 臨床栄養専門管理栄養士
- 病院で特定の疾患(糖尿病、腎臓病など)に特化した栄養指導を行う
- 日本栄養士会認定の「病態栄養専門管理栄養士」などの認定資格も
- スポーツ栄養士
- アスリートのパフォーマンス向上や体調管理をサポート
- 「公認スポーツ栄養士」の資格取得が可能
- 食育スペシャリスト
- 子どもから大人まで食育指導に特化
- 「食育インストラクター」などの関連資格も
- ヘルスケアコンサルタント
- 企業の健康経営支援や従業員の健康管理を担当
- 「健康経営アドバイザー」などの資格と組み合わせる
- 研究開発専門職
- 食品メーカーでの商品開発や栄養研究
- 大学院進学で研究スキルを磨くケースも
スペシャリスト化のメリットは、専門性を活かした仕事により高い報酬が期待できる点、自分の興味・関心に合った分野で深い知識を活かせる点、そして長期的なキャリア形成がしやすい点です。
特に働きながら資格を取得した方は、これまでの職務経験と管理栄養士の知識を組み合わせた独自のキャリアパスを構築できる可能性があります。例えば、IT業界で働いていた方ならば、栄養管理アプリの開発などに関わることも可能です。
まとめ
働きながら管理栄養士を目指すことは決して簡単ではありませんが、適切なルート選択と計画的な学習で十分に実現可能です。管理栄養士になるためのルートは、4年制大学の管理栄養士養成課程に通う方法、栄養士として実務経験を積んだ後に受験する方法、専門学校や通信教育を活用する方法など複数あります。
自分の目標や生活状況を考慮しながら、無理のない計画を立てて取り組むことが、働きながらの資格取得成功への近道です。この記事を参考に、ぜひ管理栄養士へ一歩を踏み出してください。
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