COLUMN 管理栄養士コラム

【仕事と家庭】“辞める”以外の選択を!管理栄養士が育休・時短でもスキルを磨く方法

【仕事と家庭】“辞める”以外の選択を!管理栄養士が育休・時短でもスキルを磨く方法

育児と仕事の両立は、特に専門職である管理栄養士にとって大きな課題です。育休中や時短勤務中は、キャリアの停滞に不安を感じたり、スキルアップの機会が減ることに焦りを感じたりすることも少なくありません。

しかし、「辞める」という選択肢だけではなく、この期間をむしろ自分のキャリアを見つめ直し、新たなスキルを獲得するチャンスと捉えることもできます。最新の支援制度や効率的な学習方法を知ることで、育児と管理栄養士としてのキャリア継続を両立させることが可能です。

この記事では、育休中・時短勤務中の管理栄養士が実践できる具体的なスキルアップ方法や、最新の支援制度、先輩ママ栄養士の体験談などをご紹介します。あなたの状況に合った方法を見つけて、辞めずにキャリアを継続するための一歩を踏み出しましょう。

管理栄養士が育休・時短勤務中に直面するキャリアの悩み

育休や時短勤務を選択した管理栄養士が抱える悩みには共通点があります。キャリアを諦めることなく前に進むためには、まずこれらの課題を理解し、向き合うことが大切です。

現場から離れることによる専門知識の陳腐化への不安

管理栄養士の仕事は、常に最新の栄養学や食品知識、医療・福祉制度などの専門知識が求められる分野です。育休で数か月から1年以上現場を離れることで、最新情報や実務スキルが追いつかなくなるのではないかという不安は多くの方が抱えています。

特に臨床現場や食品業界など、トレンドや技術革新の早い分野で働く管理栄養士にとって、この不安は切実です。日本栄養士会の調査によれば、育休復帰後に「知識やスキルの不足を感じた」と回答した管理栄養士は約7割にのぼります。日々進化する専門分野において、ブランクによる知識やスキルの陳腐化は避けられない課題といえるでしょう。

限られた時間でのスキルアップの難しさ

育児中や時短勤務中は、自分のために使える時間が圧倒的に少なくなります。子どもの世話や家事に追われる中で、まとまった学習時間を確保することが極めて困難になるのです。

以前なら当たり前にできた夜間の勉強会参加や週末の集中学習も、育児中はハードルが高くなります。また、疲労や睡眠不足から集中力が低下し、効率的に学習できないというジレンマも生じます。育児と自己研鑽の両立は、時間的制約だけでなく体力的・精神的な制約も大きいのが現実です。

育児との両立で感じる焦りと疲労

「同期は昇進しているのに、自分だけ取り残されている」「育児に時間を取られて、キャリアが停滞している」といった焦りは、多くの働く母親が抱える感情です。特に管理栄養士のような専門職では、継続的なスキルアップが評価やキャリアアップに直結するため、この焦りはより強くなりがちです。

また、育児と仕事の両立による慢性的な疲労は、モチベーションの低下や学習意欲の減退につながることも少なくありません。「自分の時間」を作ること自体が贅沢に感じられ、罪悪感を抱いてしまうこともあります。このような精神的ジレンマは、スキルアップへの大きな障壁となっているのです。

制度や支援の情報不足による機会損失

意外と見落とされがちなのが、利用できる制度や支援の情報が十分に届いていないという問題です。育休中のスキルアップを支援する給付金制度や、時短勤務者向けの特別なキャリアサポートなど、知っていれば活用できる制度は少なくありません。

しかし、情報不足や煩雑な手続きへの不安から、これらの制度を活用できずにいるケースも多いのが現状です。育休中に利用可能な教育訓練給付金制度を知らなかったという方も少なくありません。情報へのアクセスが限られることで、貴重な学びの機会を逃してしまう可能性があるのです。

育休中の管理栄養士が実践できるスキルアップ方法

育休中は、日常業務から離れる一方で、自分のペースで学習できる貴重な期間でもあります。この時間を有効活用して、復職後のキャリアに活かせるスキルを身につけましょう。

オンライン講座やe-ラーニングの効果的活用法

育児の合間に学べるオンライン講座は、育休中の学習に最適です。特に自分のペースで進められるオンデマンド型の講座は、子どもの寝ている時間や隙間時間に活用できます。管理栄養士向けの専門講座も豊富に提供されています。

日本栄養士会が提供する「生涯教育」オンラインコースでは、最新の栄養指導法や疾患別栄養管理などを学べます。また、民間企業が提供する専門eラーニングでは、臨床栄養学から食品開発、スポーツ栄養まで幅広いテーマを学習できるものもあります。子どもが寝た後の30分など、短時間でも継続的に取り組むことで、知識を着実に蓄積できるでしょう。

効果的な活用のコツは、学びたいテーマを絞り込むこと。あれもこれもと手を広げるより、復職後に活かせる分野に焦点を当てた方が、限られた時間で確実に成果が出ます。また、スマートフォンアプリ対応の講座なら、子どもを抱っこしながらでも学習できて便利です。

自宅で取り組める資格取得や学習プラン

育休中は、管理栄養士としての専門性を高める関連資格の取得にチャレンジするのも良い選択です。通学不要で自宅学習が中心の資格を選べば、育児との両立もしやすくなります。

  • ・NR・サプリメントアドバイザー:健康食品やサプリメントの知識を深められる
  • ・食生活アドバイザー:一般消費者向けの食育指導に役立つ
  • ・栄養情報担当者(NR):製薬会社就職にも有利
  • ・健康運動指導士:運動と栄養の両面からアプローチできる
  • ・フードコーディネーター:メニュー開発や食品企画の道も開ける

資格取得にチャレンジする際は、育休中に無理なく学習できる計画を立てることが重要です。例えば、1日30分の学習時間を確保し、3か月で基礎、6か月で応用というように段階的に進めるプランを立てましょう。実際に、育休中に健康運動指導士の資格を取得した管理栄養士は、「子どもが昼寝している1時間を毎日確保し、計画的に進めることで合格できた」と振り返っています。

育休特有の制度を活用した学び方

意外と知られていないのが、育休中に活用できる公的支援制度です。特に教育訓練給付金制度は、厚生労働大臣が指定する講座を受講した場合、受講料の最大70%(上限56万円)が支給される制度で、育休中でも利用可能です。

管理栄養士が活用できる給付金対象講座には、「臨床栄養管理スペシャリスト講座」「食品開発研究者養成講座」などがあります。これらは通信教育でも受講可能なため、育児の合間にも無理なく学べます。制度を利用するには、ハローワークでの事前手続きが必要ですが、数万円の自己負担で高額な専門講座が受講できるメリットは大きいでしょう。

また、地方自治体によっては育休中の女性向けにキャリアアップセミナーや復職支援講座を無料で提供しているケースもあります。例えば東京都の「女性しごと応援テラス」では、オンラインでのスキルアップセミナーや個別キャリア相談などのサービスが提供されています。お住まいの自治体の公式サイトやハローワークで情報を収集してみましょう。

先輩管理栄養士に学ぶ効率的な学習時間確保法

育休中にスキルアップを果たした先輩管理栄養士たちは、どのように学習時間を確保しているのでしょうか。実際の実践例を見てみましょう。

1年間の育休中に1,000時間以上の勉強を行い、臨床栄養の専門資格を取得した先輩は、「子どもの寝かしつけ後の2時間を毎日確保する」という徹底した時間管理を実践していました。最初の3か月は体力的に厳しかったものの、習慣化することで体も慣れてきたと振り返ります。また、スマートフォンの動画学習アプリを活用し、授乳中や子どもと公園にいる間も耳からインプットを続けていました。

また、時短勤務中に食品開発の専門知識を深めた先輩は、「通勤電車の20分間を逃さない」ことを徹底していました。電車内でのスキマ時間学習を効率化するため、前日に学習内容を決めておき、スマートフォンに資料をダウンロードしておくなどの工夫をしていたといいます。「20分×往復×週5日で週200分の学習時間が確保できる」と計算し、小さな時間の積み重ねを大切にしていました。

これらの事例に共通するのは、「待つのではなく作る」という時間確保の姿勢です。子どもが完全に寝た後や、パートナーに任せられる時間帯を明確に設定し、その時間は「自分の学び」のために使うという優先順位付けが成功の鍵となっています。

時短勤務中でも実践できるキャリア継続戦略

時短勤務は、働きながらも子育てに時間を確保できる重要な制度です。しかし、キャリア形成への影響を心配する声も少なくありません。ここでは、時短勤務を活用しながらキャリアを継続・発展させる具体的な方法を探ります。

2025年開始「育児時短就業給付」の賢い活用法

2025年10月から始まる「育児時短就業給付」は、時短勤務中の管理栄養士にとって朗報です。この制度は、2歳未満の子どもを育てながら時短勤務をする被保険者を対象に、賃金のおよそ10%相当(月額上限あり)が支給されるものです。

給付金を受けるための条件は、被保険者期間が12か月以上あることと、子どもが2歳未満であることが主な要件です。育児休業給付金とは異なり、時短勤務をしながら受け取れる給付金なので、経済的な不安を軽減しつつ働き続けることができます。

この制度を賢く活用するためには、職場の人事部や社会保険労務士に相談し、自分の状況に合わせた最適な働き方を設計することが大切です。例えば、週3日のフルタイム勤務と週2日の休みを選ぶか、週5日の時短勤務にするかなど、給付金額や自分のキャリア目標に応じた選択が可能です。この制度を上手に活用することで、キャリアの継続性を保ちながら、育児との両立もしやすくなるでしょう。

職場での存在感を維持するコミュニケーション術

時短勤務中は、オフィスにいる時間が限られるため、職場での存在感が薄れがちです。しかし、質の高いコミュニケーションを心がけることで、限られた時間でも十分な存在感を示すことができます

効果的なのは、自分の専門性を活かした発言や提案を積極的に行うことです。例えば、栄養指導の現場では「最新の糖尿病食事療法のエビデンス」について簡潔にまとめた資料を共有したり、食品開発部門では「子育て世代の食ニーズ」について自身の経験も交えて提案したりするなど、限られた機会に価値ある情報を提供することで印象づけることができます。

また、デジタルツールを活用した非同期コミュニケーションも有効です。チャットツールやメールで簡潔かつ的確な情報共有を心がけ、不在時間帯の連絡方法を明確にしておくことで、時短勤務であっても仕事の連続性を保つことができます。時短勤務から復帰した管理栄養士の体験談では、「短時間でも成果を出せることを示すことで、逆に仕事の効率性を評価されるようになった」という声もあります。

専門性を生かした副業・複業の選択肢

時短勤務で収入が減少する中、管理栄養士の資格や知識を活かした副業は、経済面だけでなくスキルアップの面でも有効な選択肢です。近年は副業を認める企業も増えており、自分のペースで専門性を活かせる機会が広がっています

  • ・オンライン栄養相談:自宅からZoomなどを使って個別栄養相談を提供
  • ・レシピ開発・監修:食品メーカーやメディア向けに在宅で執筆・監修
  • ・SNSでの情報発信:専門家としての知見を活かしたコンテンツ作成
  • ・オンライン講座講師:子育て世代向けの食育講座などを担当
  • ・企業向けコンサルティング:健康経営に関するアドバイザー業務

特に注目したいのは、オンラインプラットフォームを活用した働き方です。例えば「ココナラ」などのスキルマーケットで栄養相談サービスを提供したり、クラウドソーシングサイトでレシピ開発の仕事を受注したりする管理栄養士も増えています。時間や場所に縛られず、自分のペースで専門性を活かせる点が大きなメリットです。

副業に取り組む際は、本業の就業規則を確認し、適切な届出を行うことを忘れないようにしましょう。また、確定申告の必要性なども事前に調査しておくことが重要です。

成長につながる業務の選択と依頼の仕方

時短勤務中は「任される仕事が減る」という悩みを抱える方も少なくありません。しかし、自分から成長につながる業務を選択し、依頼する姿勢が重要です。

まず、自分のキャリア目標を明確にし、その達成に必要な業務や経験を整理しましょう。例えば、将来的に栄養部門のマネジメントを目指すなら、チーム内の調整業務や企画立案などの経験が必要です。そうした業務を上司に「時短勤務でも担当したい」と伝え、どのような工夫で遂行できるかを具体的に提案することで、任される可能性が高まります。

時短勤務者が成功しているケースでは、「量より質で勝負する」という意識が共通しています。「限られた時間でも専門性を活かせる業務」を自ら提案し、自宅でも作業可能な部分は持ち帰るなどの工夫をすることで、キャリアアップにつながる重要な実績を作ることができます。

また、自己啓発の成果を業務に活かす提案も効果的です。例えば、育休中に取得した資格や学んだ知識を活用して「新しい栄養指導プログラム」や「効率化のためのデジタルツール導入」などを提案することで、時短勤務でも組織に価値を提供できることをアピールできます。

家族の協力を得ながら学習時間を確保する方法

スキルアップのための時間確保には、家族の理解と協力が不可欠です。一人で抱え込まず、家族全体で「キャリア継続」を支え合う環境づくりについて考えてみましょう。

パートナーと共有する育児・家事分担術

スキルアップのための時間を確保するには、パートナーとの適切な役割分担が鍵となります。単なる「手伝い」ではなく、家族全体の課題として育児・家事を捉え直すことが重要です。

効果的な分担方法としては、お互いの得意・不得意や時間的余裕を考慮した「担当制」が挙げられます。例えば、朝の準備は母親、夕食と入浴は父親、週末の掃除は交代制など、明確にルール化することで互いの負担感を減らせます。実際に、育児をしながら専門資格を取得した管理栄養士の多くは、「週末の午前中は夫が子どもと過ごす時間と決めて、その間に集中して勉強していた」などの工夫をしていました。

また、分担表やタスク管理アプリを活用して可視化することも効果的です。「家事の見える化」によって、無意識の偏りに気づき、より公平な分担を実現できます。パートナーに任せる際は、完璧を求めすぎず、「やり方は任せる」という姿勢も大切です。夫婦間のコミュニケーションを定期的に持ち、感謝や困りごとを率直に伝え合うことで、協力体制を持続させることができるでしょう。

時間管理ツールと効率化グッズの活用法

限られた時間を最大限に活用するには、家事の効率化と時間管理の工夫が欠かせません。家事時間を短縮するための効率化グッズを賢く取り入れましょう。

  • ・食洗機:食器洗いの時間を大幅に削減できる
  • ・ロボット掃除機:掃除時間を自動化し、その間に学習できる
  • ・時短調理家電(電気圧力鍋など):調理時間の短縮が可能
  • ・宅配サービス:食材選びや買い物の時間を節約できる
  • ・衣類乾燥機:洗濯物を干す・たたむ時間の短縮に

これらのグッズは初期投資が必要ですが、長期的に見れば「時間を買う投資」と考えることができます。実際に、育休中に専門資格を取得した管理栄養士からは「食洗機と乾燥機の導入で週に5時間以上の家事時間が削減でき、その分を勉強に充てられた」という声も聞かれます。

また、時間管理アプリを活用して「見える化」することも効果的です。例えば、Togglのようなタイムトラッキングアプリで、1日の時間の使い方を記録してみると、思わぬ時間の無駄に気づくことができます。学習時間を確保するために、SNSの利用時間を制限するアプリなども役立ちます。スマートフォンの画面時間管理機能を使い、「学習用アプリ以外は1日30分まで」などのルールを設定するのも一つの方法です。

子どもの生活リズムに合わせた学習時間の作り方

子育て中の学習では、子どもの生活リズムを味方につけることが重要です。子どもの行動パターンを観察し、予測可能な「すきま時間」を活用する戦略を立てましょう。

乳児期の場合、昼寝の時間は貴重な学習時間になります。赤ちゃんが寝る時間帯に合わせて学習計画を立て、寝かしつけた後すぐに学習モードに入れるよう準備しておくことが効率的です。授乳中もスマートフォンやタブレットで音声学習コンテンツを聴くなど、「ながら学習」の習慣をつけるのも一つの方法です。

幼児期になると、保育園や幼稚園の時間、また自宅での遊びに夢中になる時間などが比較的予測しやすくなります。そうした時間帯に合わせて学習のタイムテーブルを組むことで、中断のストレスを減らせます。例えば、「子どもがブロック遊びをしている30分間は簡単な問題集に取り組む」「お絵かきタイムの間は専門書を読む」など、子どもの集中力が続く時間を見極めて活用する工夫が有効です。

また、週末など家族で過ごす時間とは別に、「ママの勉強タイム」を子どもに理解させることも大切です。「ママが30分勉強している間は静かに遊んでいようね」と声をかけ、タイマーを見せるなど視覚的に時間を示すことで、小さな子どもでも理解しやすくなります。学習する姿を子どもに見せることで、「学び続ける大切さ」を自然と伝えることにもつながるでしょう。

自己投資のための「わがままタイム」確保術

育児や家事に追われる日々の中で、自分のための時間を確保することに罪悪感を抱く方も少なくありません。しかし、キャリア継続のための学習時間は「わがまま」ではなく「必要な自己投資」であると認識を改めることが大切です。

この意識改革のためには、家族との対話が欠かせません。「なぜスキルアップが必要なのか」「それがどう家族の未来につながるのか」を丁寧に説明し、理解と協力を得ることが重要です。例えば、「専門性を高めることで収入アップにつながる」「より柔軟な働き方ができる職場を選べるようになる」など、具体的なメリットを共有しましょう。

また、「わがままタイム」を確保するためには、事前の宣言と環境整備が効果的です。「日曜の午前中は自分の学習時間」と家族カレンダーに書き込み、その時間は家事や育児の依頼を受けないようにルール化します。カフェや図書館など家から離れた場所で学習するのも一つの方法です。実際に、育休中に資格を取得した管理栄養士の中には、「週に一度、実家に子どもを預けて4時間集中して勉強する時間を確保していた」という例もあります。

自分を責めすぎず、小さな成功体験を積み重ねることも大切です。「今日は30分だけでも学習時間が取れた」と自分を褒め、小さな進歩を家族と共有することで、周囲の理解と自分の満足感を高めることができるでしょう。

管理栄養士としてのキャリアを長期的に考える視点

育児期というライフステージは一時的なものです。この時期を乗り越え、長い目で見たキャリア形成を考えることで、今の選択がより明確になるでしょう。

ライフステージに合わせたキャリアデザイン

管理栄養士のキャリアは数十年という長期スパンで考えるべきものです。育児期は一時的なライフステージであり、この時期の「スローダウン」は必ずしもキャリアの停滞を意味しないということを認識することが大切です。

長期的なキャリアデザインを考える際には、5年・10年・20年先の自分をイメージし、それぞれの段階でどのような働き方や専門性を持ちたいかを具体的に描いてみましょう。例えば、「子どもが小さい時期は時短勤務で基礎的なスキルを維持し、小学校入学後にフルタイム復帰して専門性を深め、子どもの独立後にマネジメント職を目指す」といった段階的なビジョンを持つことで、今の選択がより明確になります。

管理栄養士の職域は多岐にわたるため、ライフステージに合わせた働き方の選択肢も広がっています。臨床現場のような時間的拘束の強い職場から、企業の商品開発やコンサルティングなど比較的フレキシブルな働き方ができる分野へのシフトも視野に入れると良いでしょう。実際に、子育て期に在宅勤務可能な食品メーカーの開発職に転職し、子どもの成長後に管理職として活躍している管理栄養士の事例もあります。

職場復帰を見据えた専門性の選択と集中

限られた時間でスキルアップを図るには、「何を学ぶか」の選択と集中が欠かせません。特に育休中や時短勤務中は、復職後すぐに活かせる実践的なスキルに焦点を当てることが効果的です。

まず、職場や業界の最新動向をリサーチし、今後需要が高まりそうな専門分野を見極めましょう。例えば、医療現場であれば「栄養サポートチーム(NST)」「糖尿病療養指導」などの専門性、食品業界であれば「機能性表示食品開発」「健康経営支援」などの知識が注目されています。こうした将来性のある分野に絞って学習することで、限られた時間でも効果的なスキルアップが可能になります。

また、デジタルスキルの強化も検討すべき重要な分野です。栄養指導のオンライン化やデータ分析ツールの活用など、デジタル技術と栄養学を組み合わせたスキルは今後ますます重要になっていくでしょう。例えば、ExcelやPowerPointなどの基本的なオフィススキルから、栄養計算ソフトの操作、さらにはデータ分析の基礎知識まで、オンラインで学べるスキルは多岐にわたります。これらは在宅でも学習しやすく、復職後すぐに活かせる実践的なスキルといえるでしょう。

同じ立場の仲間とのネットワーキング構築法

キャリア継続のための重要な資源として、同じ悩みや目標を持つ仲間とのつながりが挙げられます。育児をしながら管理栄養士として働く仲間とのネットワークは、情報共有や精神的サポートの面で大きな支えになります。

ネットワーク構築の方法としては、SNSのコミュニティ活用が効果的です。FacebookやInstagramなどで「ママ栄養士」「働く管理栄養士」などのキーワードで検索すると、同じ立場の仲間が集うグループやハッシュタグを見つけることができます。また、「栄養士ママコミュニティ」などのオンラインサロンも増えているので、積極的に参加してみると良いでしょう。

オンラインだけでなく、可能であれば対面での交流機会も大切にしましょう。日本栄養士会の研修会やセミナーに参加したり、地域の栄養士会イベントに足を運んだりすることで、リアルなつながりを築くことができます。子連れで参加できるイベントも増えているので、情報をチェックしてみましょう。

ネットワーキングのメリットは情報交換だけではありません。「自分だけじゃない」という安心感や、先輩ママ栄養士の成功体験から得られるモチベーション、さらには共同での学習会やプロジェクト立ち上げなど、キャリア発展の可能性も広がります。実際に、オンラインコミュニティがきっかけで共著出版や共同セミナー開催につながったという事例も少なくありません。

自分らしいワークライフバランスの定義づけ

キャリア継続の最も重要な要素は、自分にとっての「成功」や「充実」を自分自身で定義することです。世間の価値観や他者の評価ではなく、自分と家族にとって最適なワークライフバランスを見つけることが大切です。

そのためには、まず自分の価値観や優先順位を明確にすることから始めましょう。「キャリアにおいて何を大切にしたいか」「家庭生活で譲れないものは何か」を書き出してみると、自分にとっての理想のバランスが見えてきます。例えば、「昇進や収入よりも専門性を深めることを重視したい」「子どもの行事には必ず参加したい」など、具体的な優先事項を明らかにすることで、選択の指針ができます。

また、完璧主義から脱却し、「今できる最善」を受け入れる柔軟さも重要です。育児期のキャリア形成は直線的ではなく、時に停滞や迂回があって当然です。その時々の状況に合わせて戦略を調整し、長い目で見たキャリア形成を意識することで、一時的な困難を乗り越える力が生まれます。

育児をしながら管理栄養士として第一線で活躍してきた先輩たちからは、「育児期は確かに大変だったが、その経験が患者さんや消費者への共感力を高め、むしろ専門性の幅が広がった」という声も聞かれます。育児とキャリアの両立は、困難である一方で、新たな視点や能力を獲得するチャンスでもあるのです。

まとめ

育休中や時短勤務中の管理栄養士が直面する「キャリアと育児の両立」という課題は、決して簡単なものではありません。しかし、この記事で紹介したように、「辞める」以外にも多くの選択肢があります。

オンライン講座や自宅学習で無理なくスキルアップを図る方法、2025年から始まる「育児時短就業給付」などの支援制度、家族の協力を得ながら学習時間を確保するコツ、そして長期的な視点でキャリアを考える姿勢—これらはすべて、あなたが管理栄養士としてのキャリアを継続するための大切な要素です。

重要なのは、自分自身のペースを尊重し、「今できること」から始めることです。完璧を求めず、小さな一歩を積み重ねていくことが、結果的に大きな成長につながります。また、同じ立場の仲間とのつながりを大切にし、情報や経験を共有することも、継続の力になるでしょう。

育児期は長い人生の中では限られた期間です。この時期をキャリアの「停滞期」ではなく、新たな視点や能力を獲得する「成長期」と捉え直すことで、管理栄養士としての可能性をさらに広げることができるのではないでしょうか。あなたらしいキャリア継続の道を、ぜひ前向きに探ってみてください。


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