目次
はじめに
高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状がないまま進行し、心筋梗塞や脳卒中などの重篤な疾患のリスクを高める怖い病気です。そんな高血圧を予防するうえで、毎日の食生活の見直しは欠かせません。
中でも「減塩」は、高血圧予防において最も基本的かつ効果的なアプローチの一つ。けれど、「味気なくなりそう」「料理が難しそう」と感じてしまう方も多いのではないでしょうか?
本記事では、管理栄養士が監修した減塩でも満足感のある簡単レシピをご紹介します。無理なく、美味しく続けられる“減塩生活”の第一歩を、一緒に踏み出してみませんか?
高血圧と塩分の関係とは?

高血圧とは、血管の内側を流れる血液の圧力が慢性的に高い状態を指します。
日本人の高血圧患者数は4,300万人以上と推定されており、特に中高年層では3人に1人が該当するといわれています(厚生労働省「国民健康・栄養調査」より)。
その大きな原因の一つが「塩分のとりすぎ」。
塩分(ナトリウム)を多く摂取すると、体内のナトリウム濃度を一定に保つために水分が必要となり、血液量が増加して血圧が上がります。
そのため、厚生労働省では1日あたりの食塩摂取量の目標値を
- 男性:7.5g未満
- 女性:6.5g未満
としています(「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より)。
しかし、実際の平均摂取量はこの目標を大きく上回っているのが現状です。

減塩でもおいしく食べるための3つの工夫
① うま味・香りを利用する
昆布・かつお節・しいたけなどの「うま味」や、ねぎ・しょうが・にんにくなどの「香り」を効かせることで、塩分を控えても物足りなさを感じにくくなります。
② 酸味やスパイスを取り入れる
お酢や柑橘類の果汁、カレー粉やブラックペッパーなどの香辛料は、料理にメリハリをつけ、減塩でも満足感を高めてくれます。
③ 素材の味を活かす調理法を選ぶ
蒸す・焼く・グリルするなどの調理法は、素材本来の風味や甘みを引き出せるため、調味料が少なくても美味しく仕上がります。
管理栄養士おすすめ!高血圧予防にぴったりの減塩レシピ
レモン香る鶏のさっぱり照り焼き
ポイント👆醤油を少なめにして、レモンで風味UP!
材料(2人分)
・鶏モモ肉 1枚(250g)
・減塩醤油 大さじ1
・みりん 大さじ1
・レモン汁 大さじ1
・おろしにんにくチューブ 2㎝程度
・おろし生姜チューブ 2㎝程度
・かいわれ菜 少々
・ミニトマト 2個
作り方
- 鶏肉に片栗粉をまぶし、少量の油で焼く(中火で両面3分ずつ)
- 減塩醤油・みりん・レモン汁・にんにく・しょうがを混ぜてたれを作る
- 焼いた鶏肉にたれをからめて、照りが出るまで煮詰める
- 鶏肉を皿に盛り、ミニトマトとかいわれ菜を飾り盛り付ける
トマトとたまねぎのマリネ
ポイント👆シンプルだけどさっぱりとしたおいしさで、簡単に作れて前菜や付け合わせにぴったり!
材料(2人分)
・トマト 中2個
・たまねぎ ½個
・オリーブオイル 大さじ2
・酢 大さじ1.5
・砂糖 小さじ1
・塩 少々
・黒こしょう 少々
作り方
- トマトはへたをとり、くし形に切る。たまねぎは薄くスライスし、水に10分ほどさらして辛みを抜きしっかり水気を切る(新玉ねぎを使うときは水にさらさなくてOK!)


- ボウルにオリーブオイル、酢、砂糖、塩こしょうを入れてよく混ぜる
- トマトと玉ねぎをマリネ液に加え、全体を軽く和える
- 冷蔵庫で30分ほど冷やすと味がなじんでさらにおいしくなります
- 器に盛り、お好みで黒コショウを上にかけて完成
きのこと豚肉の冷しゃぶサラダ
ポイント👆ポン酢を使って、おいしく減塩!豚肉でビタミン・ミネラル補給で疲労回復!
材料(2人分)
・豚しゃぶしゃぶ用肉 200g
・しめじ 1パック
・えのき 1パック
・エリンギ 1本
・レタスや水菜など 適量
・ミニトマト 4個
・ポン酢 大さじ2
・ごま油 大さじ1
・白ごま 小さじ1
作り方
- しめじとえのきは石づきを取り、ほぐしておく。エリンギは薄切りにする。葉物野菜は洗って水気を切る。

- きのこは耐熱容器に入れて、電子レンジで600W2分加熱する。

- 沸騰したお湯に豚肉を1枚ずつくぐらせ、火が通ったらすぐに冷水にとって冷やし、水気をよく切る。

- 皿に野菜を敷き、その上にきのこと豚肉をのせ、ミニトマトを添える
- ドレッシングをかけて完成!

まとめ
高血圧予防のためには、「減塩」「野菜・果物の摂取」「バランスの良い食事」を取り入れていくことが大切になります。
だしやうま味・辛味を効かせることで味わい豊かな食事に変えたり、漬物やみそ汁、ラーメンのスープを控えめすることも減塩への近道となります。
また、カリウム・カルシウム。マグネシウムなどのミネラルの多い食品を摂ることで、血圧を下げる働きがあります。バナナなどの果物や牛乳、海藻、豆腐、ナッツなども日頃の食事に取り入れてみてください。
今回ご紹介したような減塩メニューを、ぜひご家庭のレパートリーに加えてみてくださいね。
「美味しくて、簡単だから続けられる」そんな減塩生活が、未来の健康への第一歩となります。
監修管理栄養士/佐藤志津
食べること、料理をすることが好きで、好きなことを仕事にしようと管理栄養士として働いてから早20年以上。急性期病院や高齢者施設に勤務を経験し、病院では糖尿病や心臓病・腎臓病の方々や低栄養になりやすいがんの治療中の方やご高齢の方など幅広い内容で栄養管理や栄養指導を行ってまいりました。
「その方の気持ちに寄りそう栄養相談」をモットーに、たくさんの方々に栄養の大切さを広めていく活動を行っていきたいと思っています。