COLUMN 管理栄養士コラム

【レシピ付き】管理栄養士監修 腎臓病患者向け 低カリウムメニュー

【レシピ付き】管理栄養士監修 腎臓病患者向け 低カリウムメニュー

1.はじめに

腎臓病では、血中のカリウム値が高くなる「高カリウム血症」を防ぐために、カリウム制限が必要になることがあります。しかし、野菜や果物を控えることで、食事が偏ったり、栄養バランスが崩れやすいという課題も…。

そこで今回は、カリウムを抑えつつ、しっかり美味しく栄養も摂れる低カリウムメニューを、管理栄養士の視点からご紹介します。

2.腎臓病病患者の食事で気をつけるべきポイント

カリウムの多い食品は、主に野菜・果物・豆類・いも類など、健康的とされる食材に多く含まれています。特に、減量を目指している方にとっては積極的に摂りたい食品です。ただし、腎臓病の方にとっては摂りすぎ注意となります。

以下に代表的な「カリウムの多い食品」を分類してまとめます。

【野菜】(特に生・加熱前)

食品カリウム量(mg/100g)備考
ほうれん草(生)約690茹でて水にさらすと半分以下に減少
小松菜(生)約500下茹でで減らせる
トマト(生)約210ジュースやソースは濃縮され高め
にら(生)約510加熱・水さらしで調整可能
さつまいも(生)約540切って水にさらすと減る

3.カリウムを減らす調理法(下茹で・水さらし・カット方法など)

腎臓病の食事では、カリウムの摂取を抑えるための調理法がとても重要です。以下に、カリウムを効果的に減らす調理のコツをわかりやすくまとめます。

① 「切ってから水にさらす」

  • 野菜やいも類は細かく切るほど表面積が増え、カリウムが抜けやすくなります。
  • たとえば、細切り・薄切りにしてから10〜30分程度水にさらすのが効果的。

▶ 例:千切りにした大根、人参、なすなど

② 「下茹でする(茹でこぼす)」

  • 野菜やいも類をたっぷりの湯で茹で、茹で汁は捨てることでカリウムを大幅に減らせます。
  • さらに水にさらすことで、カリウムを追加で除去可能。

▶ 例:ほうれん草、小松菜、じゃがいも、さつまいもなど
※カリウムは水溶性のため、茹で汁には捨てるべきカリウムが含まれています。

③ 「ゆでた後に水にさらす」

  • 下茹で後、そのまま冷水にさらすと、茹で残ったカリウムがさらに溶け出すため、カリウムを追加で除去することが可能。
  • 10分以上さらすのが目安。

▶ 例:小松菜のごま和え、キャベツのナムルなど

④ 「煮汁を使わない・少なめにする」

  • 汁を控えるか、下茹で後に再調理がおすすめ。
  • カリウムは煮汁に出ているため、汁ごと食べる煮物・スープは注意が必要です。

⑤ 「乾物は戻し汁を使わない」

  • 戻し汁にカリウムが溶け出すので、汁は使わず捨てましょう。
  • 切干大根・干ししいたけ・高野豆腐などの乾物はカリウムが多く含まれています。

⑥ 「電子レンジ調理よりも茹で調理を選ぶ」

  • 電子レンジ加熱は水を使わないため、カリウムが残りやすい傾向があります。
  • カリウム制限がある場合は、**「茹でてから使う」**のが基本です。


4.加工食品や外食の注意点

腎臓病患者にとって、加工食品や外食は注意が必要なポイントが多いです。特に「カリウム」「リン」「塩分」「たんぱく質」などのコントロールが重要になります。以下に、カリウム制限を中心としつつ、外食・加工食品で気をつける点を具体的にまとめました。

加工食品や外食の注意点(腎臓病・カリウム制限の方向け)

1. カリウムが多い可能性がある食品・メニュー

分類注意点
野菜系の惣菜ひじき煮、切干大根、野菜炒め、野菜ジュース乾物・野菜の量が多く、カリウムが高いことがある
果物入り商品フルーツヨーグルト、スムージー、フルーツサンド加工果物でもカリウムが濃縮されることがある
豆製品納豆、豆腐ハンバーグ、がんも、煮豆大豆系はカリウム+リンも多め
加工いも料理ポテトサラダ、フライドポテトいも類は水にさらしていないと高カリウムのまま
加工肉・魚ハム、ベーコン、ちくわ、かまぼこ保存料由来のリンや塩分も多く、要注意
スープ類ラーメン、うどん、みそ汁汁にカリウムや塩分が溶け込むため、「汁を残す」が基本

2. 外食時のポイントと工夫

ポイント解説
✔ 野菜の多いメニューでも「茹で調理」かを確認生野菜や炒め野菜より「温野菜」「煮物」などを選ぶ(ただし煮汁は控える)
✔ 汁物はできるだけ残すカリウムや塩分を多く含むため「具は食べて、汁は残す」工夫を
✔ セットメニューより単品注文主菜と副菜を組み合わせて調整しやすくなる
✔ カリウムの少ない食品を知っておく白ごはん、パン(無塩タイプ)、鶏むね肉、白身魚などが比較的安心
✔ お店で「調味料を控えめに」「野菜少なめで」など相談してみる最近は対応してくれる飲食店も増えてきている

3. 加工食品選びのコツ

工夫ポイント理由
「無塩」「減塩」「低たんぱく」表示を確認塩分・たんぱく質制限中の方には役立つ指標
加工食品の裏面の栄養表示をチェックカリウム・リン・ナトリウムの含有量を把握できる(※義務表示ではないこともある)
レトルト食品は「湯せんタイプ」より「具と汁を分けやすいタイプ」を汁に栄養素が溶け出しているため、分けて摂る工夫が必要
加工肉より「ゆで鶏」「蒸し魚」などシンプルな素材を加工の段階でカリウムやリンが追加されていることがある

5.管理栄養士おすすめ! 腎臓患者患者向け低カリウムレシピ

レシピ①:鶏ももとれんこんのカレーマヨ炒め

<材料(1人分)>

  • 鶏もも肉……50g
  • れんこん……50g
  • 油……大さじ1/2
  • マヨネーズ……大さじ1
  • カレー粉……小さじ1/2

<作り方>

1.れんこんを細かい乱切りにして、10分水にさらす(この水は捨てる)。水から火にかけて沸騰したらザルにあげ、よく水気をきる。

2.鶏ももを一口大にカットする。

3.フライパンに油をひき、鶏ももの皮目を下にして焼き目をつける。

4鶏ももを裏返し、水気を切ったれんこんを加える。

5.鶏ももにしっかり火が通るまで炒める。

6.マヨネーズとカレー粉を加えて、馴染むまで炒めたら完成。

<POINT>

れんこんは、他の野菜よりもゆでこぼしによるカリウム除去率が高く、ゆでこぼしによる食感の変化が少ないためボリュームを出したいメイン料理にもおすすめ。味付けをマヨネーズとカレー粉にすることにより、塩を使わなくても美味しくなるため減塩になります。


レシピ②:中華風グリーンサラダ

<材料(1人分)>

  • レタス……30g
  • ピーマン……30g
  • きゅうり……30g
  • 炒りごま……お好み
  • ごま油……小さじ1
  • 鶏ガラ……小さじ1/2

<作り方>

1.レタス、ピーマン、きゅうりは千切りにし、10分以上水にさらす。

2.しっかり水気を切り、ボウルへいれる。

3.炒りごま、ごま油、鶏ガラを入れ、しっかり混ぜ合わせて完成。

<POINT>

野菜類は一気に水さらしができるため時短に。また、ごま油で和えることでカロリーアップになります。

レシピ③:バター香るコーンピラフ

<材料(1人分)>

  • 白飯……150g
  • 人参……30g
  • コーン(缶詰)……30g
  • ベーコン……1/2
  • 油……大さじ1/2
  • 塩……ひとつまみ
  • こしょう……お好み
  • 無塩バター……10g
  • パセリ……お好み

<作り方>

1.フライパンに油をひき、細切りにしたベーコンを中火でカリッとするまで炒める。一旦お皿に取り出しておく。

2.人参は1cm程度のさいの目切りにして、水に10分以上さらした後、よく水気を切る。

3.白飯、人参を入れて、人参が食べやすい硬さになるまで炒める。

4.コーンとベーコンを加えて、塩、こしょうで味をつける。

5.味が整ったら、無塩バターを入れ軽く混ぜる。

6.お皿に盛り付けて、最後にパセリを振りかけたら完成。

<POINT>

主食をピラフにすることにより、カロリーアップに。とうもろこしは生だとカリウム量が多い食材ですが、缶詰を使用することでカリウムを減らすことができます。

6.まとめ

カリウム制限があると、食事の楽しみが減ってしまいがちですが、ちょっとした工夫で「食べられるもの」がぐっと増えます

たんぱく質制限も加わるため、カロリーが不足しがちなところもメニュー構成の難しさです。今回は、カリウムを除去しながらカロリーアップが図れるものをご紹介しましたので、ぜひ参考にしてみてください!

管理栄養士と一緒に、安心して続けられる食生活を考えていきましょう。

監修管理栄養士/菊地亜実

N・Partnerにて、特定保健指導やクリニックの患者様への栄養指導を担当。皆様の健康管理について、一緒に考え相談し、生活環境や性格などに応じた改善内容を提案できるよう努めております。中でも、冷蔵庫にあるもので作る手軽なレシピのご提案を得意としております。生活改善は、少し視点を変えるだけで、我慢ではなく前向きに取り組めるものになると考えています。そのような情報をお届けできるよう、日々邁進しております。

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