COLUMN 管理栄養士コラム

【レシピ付き】管理栄養士監修、フレイル予防の高エネルギーメニュー

【レシピ付き】管理栄養士監修、フレイル予防の高エネルギーメニュー

1.はじめに

フレイル(frailty)」とは、加齢に伴って心身の活力(筋力・認知機能・社会とのつながりなど)が低下し、健康障害を起こしやすくなった状態を指します。
健康と要介護の中間の段階とも言われ、高齢者の健康管理において非常に重要な概念です。

2.フレイルの特徴

健康な状態← フレイル期 →要介護状態
自立して生活できる心身が弱ってきている生活に介助が必要

3.フレイルの3つの側面

1.身体的フレイル
 筋力や体力の低下、体重減少、歩行速度の低下など

2.精神・心理的フレイル
 認知機能の低下、うつ傾向など

3.社会的フレイル
 独居や外出頻度の減少、人とのつながりの希薄化


4.フレイルの主なサイン(例)

  • 原因のない体重減少(半年で2~3kg以上)
  • 疲れやすい、元気が出ない
  • 握力の低下
  • 歩行速度の低下
  • 生活の中で活動量が減っている

5.フレイル予防の3本柱

  1. 栄養(特にたんぱく質とエネルギーの確保)
  2. 運動(筋トレやウォーキング)
  3. 社会参加(地域活動や家族との交流)

フレイルは早期に気づき、対策することで改善が可能です。特に食事と運動は基本であり、「しっかり食べる・動く・つながる」がキーワードとなります。必要に応じて、管理栄養士や医師のサポートを受けることも重要です。

6.管理栄養士おすすめ! フレイル予防の高エネルギーレシピ

レシピ①:いわしとなすの生姜煮

<材料(2人分)>

  • いわし … 2尾(頭と内臓を除く)
  • なす … 2本
  • 生姜 … 1かけ(千切り)
  • 水 … 150ml
  • 醤油 … 大さじ2
  • みりん … 大さじ2
  • 酒 … 大さじ2
  • 砂糖 … 小さじ2
  • ごま油 … 小さじ1

<作り方>

1.いわしは軽く塩をふって10分おき、水気をふく。

2.なすはヘタを落とし、縦半分に切ってから1cm幅の半月切りにする。

3.生姜は皮をむき、千切りにする。

4.鍋にごま油を熱し、なすを軽く炒めて表面に油をまとわせる。

5.鍋に水・酒・みりん・砂糖・醤油・生姜を加えて煮立てる。

6.いわしを加え、落としぶたをして弱火で10分ほど煮る。

7.なすを戻し入れ、さらに5分煮て味を含ませる。

8.煮汁が少しとろっとしたら火をとめる。

<POINT>

いわしは下処理をしっかりすると臭みがなく仕上がります。

なすは先に炒めてから煮ることで、煮崩れを防ぎコクもアップ。

生姜の香りでさっぱり食べられ、秋口にぴったりのおかずです。

レシピ②:あじの南蛮漬け

<材料(2人分)>

  • あじ(三枚おろし)…2尾分(約160〜180g)
  • 玉ねぎ … 1/3個
  • にんじん … 1/4本
  • 片栗粉 … 適量
  • 塩 … 少々
  • 揚げ油 … 適量
  • 南蛮酢
  • 酢 … 大さじ3
  • しょうゆ … 大さじ2
  • みりん … 大さじ1と1/2
  • 砂糖 … 小さじ2
  • だし汁 … 大さじ1
  • 赤唐辛子(小口切り)…少々

<作り方>

1.あじは骨を取り、半分に切る。塩を軽くふって10分ほどおき、水気をふく。

2.玉ねぎは薄切り、にんじんは細切りにする。

3.小鍋に酢・しょうゆ・みりん・砂糖・だし汁・唐辛子を入れて軽く煮立たせる。

4.煮立った南蛮酢をバットなどに移し、玉ねぎ・にんじんを加えて漬け床を作る。

5.あじに片栗粉をまぶし、180℃の油でカリッと揚げる。

6.揚げたあじを熱いうちに南蛮酢に入れる。

7.粗熱が取れたら冷蔵庫に入れ、30分以上味をなじませる。

8.味がしみたら器に盛り、野菜をのせて完成。

<POINT>

さっぱりとした味わいに唐辛子のピリッと感がアクセントになります。

レシピ③:卵とレタスのソテー

<材料(2人分)>

  • 卵 … 2個
  • サニーレタス … 4枚ほど
  • オリーブオイル … 小さじ2
  • 醤油 … 小さじ1
  • 塩・こしょう … 少々

<作り方>

1.サニーレタスは洗って水気を切り、食べやすい大きさにちぎる。

2.フライパンにオリーブオイルを熱し、溶いた卵を流し入れる。半熟状になったら一度取り出す。

3.同じフライパンでサニーレタスをさっと炒め、塩こしょうを振る。

4.卵を戻し入れ、醤油を回しかけて全体をさっと混ぜ合わせる。

5.器に盛りつけて完成。

<POINT>

卵のふんわり感と、サニーレタスのシャキッと感が楽しめる簡単一品です。

もう少しコクを出したいときはバターを加えても美味しいですよ。

7.まとめ

少量でもしっかり栄養がとれる「エネルギー密度の高い食事」を心がけます。高エネルギー食は、体力や筋力の維持だけでなく、日常生活の活動意欲の向上にもつながります。「しっかり食べて、しっかり動く」生活を支えるために、日々の食事からフレイル予防を実践していきましょう。


今回、糖尿病とフレイル予防に役立つレシピを監修しました。糖尿病では血糖コントロールを意識しつつ、過度な制限にならないよう「適正な糖質」と「質のよいタンパク質」を組み合わせることが大切です。また、フレイル予防では筋肉量を維持するためにタンパク質・ビタミンD・カルシウムなどをしっかり取り入れる工夫が求められます。

監修したレシピでは、身近な食材を活用しながら「主食・主菜・副菜のバランス」と「噛みやすさ」「調理の手軽さ」に配慮しました。血糖値の安定、筋力・体力の維持、そして毎日の食事を楽しむこと。これらを同時に叶えられる内容になったと思います。

食事は治療や予防の手段であると同時に、心を満たす大切な時間です。今回のレシピが、健康維持だけでなく“食べる喜び”を感じるきっかけになれば幸いです。

監修管理栄養士/村中一帆

大学で栄養学を学び、病院や介護施設での勤務を経て、現在はタウンドクターの管理栄養士としてオンラインでの栄養指導を実施しています。日々の食事から健康を支えることを大切にし、レシピ開発や栄養指導、記事執筆もしています。子育て中の母としての視点も活かし、家庭で実践しやすい食の工夫や最新の栄養情報を発信中です。管理栄養士としての知識と経験を活かし、一人ひとりの生活に寄り添う「食の伴走者」であることを目指しています。

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