目次
はじめに
健康診断の結果で「LDLコレステロールが高い」「中性脂肪が多め」と指摘されたことはありませんか? これらは「脂質異常症」の代表的なサインで、放っておくと動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる疾患につながるリスクがあります。
脂質異常症の予防・改善には、日々の食生活がカギ。
今回は、脂質異常症対策に取り入れたい栄養のポイントと、管理栄養士が考案したレシピをご紹介します。脂っこい料理を控えるだけではない、“おいしく続けられる工夫”をお届けします!
脂質異常症とは?どんな状態?
脂質異常症とは、血液中の脂質(主にLDLコレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪)の値が基準から外れている状態をいいます。
厚生労働省の基準では、以下のいずれかに該当すると脂質異常症と診断されます:
- LDL(悪玉)コレステロール:140mg/dL以上
- HDL(善玉)コレステロール:40mg/dL未満
- 中性脂肪(TG):150mg/dL以上

中でも注意したいのは、「LDLコレステロールが高い」「中性脂肪が多い」タイプ。
これらが増えすぎると、血管に脂肪がたまり動脈硬化が進行し、心疾患や脳血管疾患など、様々な疾患の引き金になります。
食事でできる!脂質異常症対策のポイント
① 脂質の「質」を見直そう
脂のとり方は「量」と「質」が重要です。脂質異常症の重症化予防を目的とした場合、コレステロールの摂取は1日200㎎未満を目安とされています。
質に着目すると、飽和脂肪酸は総エネルギーの7%以下に抑えることが推奨されています。特にEPAやDHAなどのn-3系脂肪酸は、1日1g以上の摂取が望ましく、週2〜3以上の青魚摂取を心がけましょう。
- 飽和脂肪酸(肉の脂・バターなど)は控えめに。
- トランス脂肪酸(マーガリン・加工食品)は極力避けましょう。
- 不飽和脂肪酸(青魚・ナッツ・オリーブオイルなど)を積極的に。
② 食物繊維でコレステロールを排出
野菜、海藻、きのこ、豆類などの食物繊維は、余分なコレステロールの排出を助けます。
成人では1日20g前後の食物繊維を最低ラインとして、それ以上の摂取を目指しましょう。

③ 中性脂肪を下げるためには糖質やお酒もチェック
甘い飲み物・白米・菓子・麺類・パンなどの精製糖質をとりすぎると、血糖値が急激に上昇しやすくなり、中性脂肪を蓄積させる要因となります。
血糖値の上昇を防ぐのも「食物繊維」です。ご飯は血糖値上昇の緩やかにする雑穀米や大豆米にしたり、間食はナッツや無糖のヨーグルトに変えるのも効果的です。
また過剰な飲酒は、中性脂肪の上昇を招くといわれています。
1日あたりアルコール20g以下に抑え、週に2回以上の休肝日を設けましょう。

管理栄養士おすすめ!脂質異常症対策レシピ
レシピ名:繊維とミネラルたっぷりサラダ

食物繊維だけでなく、脂質代謝をサポートするミネラル類もたっぷりのサラダです。
不飽和脂肪酸豊富なごま油、コレステロールの酸化を抑制する酢も使用することで、
美味しくさっぱりといただける一品です。切り干し大根の歯ごたえがいいアクセント!
材料(2人分)
・切り干し大根 | 15g | ・米酢 | 大さじ1.5 |
---|---|---|---|
・乾燥カットわかめ | 3g | ・砂糖 | 大さじ1 |
・乾燥海藻ミックス | 3g | ・醤油 | 大さじ1 |
・焼き海苔 | 適量 | ・ごま油 | 小さじ1 |
・白すりごま | 小さじ1 |
作り方
- 乾物は水で戻す。切り干し大根は食べやすい長さにキッチンバサミなどで切る。

- その間にドレッシングを作る。米酢・醤油で砂糖を溶かし、ごま油とごまを混ぜる。

- 戻した乾物の水気をしっかりとしぼり、ドレッシングと和える。


- 器に盛り、焼きのりをちぎり、トッピングして完成。
レシピ名:彩り野菜とホタテのアーリオ・オーリオ

抗酸化ビタミンACE豊富な野菜と、ミネラル・タウリン豊富なホタテを使った一品。
LDLコレステロールを調整する様々な栄養素を、効率よく摂ることが出来ます。
短時間で蒸すことで、油の酸化や、野菜の栄養素の損失を極力防いだ調理にしました。
仕上げのレモン果汁で、減塩効果と抗酸化効果もプラスして、爽やかな味わいです。
レシピの簡単な説明をお願いします。
材料(2人分)
・冷凍ベビーほたて | 5個 | ・料理酒 | 小さじ1 |
---|---|---|---|
・ブロッコリー | 1/2株 | ・にんにくチューブ | 4cm |
・赤パプリカ | 1/2個 | ・鷹の爪輪切り | 5~8切れ |
・エリンギ | 1/2パック(約60g) | ・塩 | 小さじ1/4 |
・レモン(果汁でも可) | 1/2個 | ・こしょう | 少々 |
・オリーブオイル(加熱) | 小さじ1 | ・オリーブオイル(追加) | 大さじ1と1/2 |
(エキストラバージンオリーブオイルがお勧め) |
作り方
- ほたては冷水で軽く解凍し、大きければ半分にそぎ切りに。ブロッコリーは小房に切り分け、軸も食べやすい大きさに切る。パプリカは一口大の乱切り。エリンギは厚めの短冊切りにする。レモンはくし形切りにする。


- フライパンににんにくと鷹の爪、オリーブオイル小さじ1を入れて弱火にかける。

- にんにくが、ちりちりとしてきたら、ホタテ、ブロッコリーの芯、ブロッコリーの花蕾、エリンギ、パプリカの順に加える。

- 更に料理酒を回し入れ、蓋をして中火で1分ほど蒸し焼きにする。

- 塩とこしょうを加えてさっと炒め、火を止める。追加のオリーブオイルを全体にかける。
- 皿に盛り付け、レモンを添えて完成。
レシピ名:カツオのたたきの簡単づけ丼

市販のカツオのたたきで、切って乗せるだけの簡単づけ丼です。
加熱部分が少ないため、酸化していないEPA・DHAを効率よく摂取できます。
LDLコレステロールを抑える働きのある、にんにくも利かせて。
丼にせず、そのままおつまみにするのもお勧めです。
材料(2人分)
・カツオのたたき | 200g | ・みょうが | 1個 |
---|---|---|---|
・ポン酢 | 大さじ3 | ・万能ねぎ | 1本 |
・にんにくチューブ | 3cm | ・白すりごま | 小さじ1 |
・青じそ | 8~10枚 | ・ご飯 | 1人150g |
作り方
- まず野菜と薬味を切る。青じそとみょうがは軸を取り千切り、ねぎは小口切り。
- カツオのたたきは5~7㎜厚にカットして、にんにくと一緒に10分程度ポン酢に漬け込む。

- 器にごはんを盛り付け、青じそ、みょうが、漬けたカツオ、ねぎ、すりごまの順に盛り付け完成。
まとめ
脂質異常症は、知らないうちに進行しやすい“静かな疾患”ですが、放置すると心筋梗塞や脳梗塞といった重篤な病気に至る可能性があります。食生活を工夫することで、予防・改善が期待できます。
青魚や海藻・きのこ・野菜を積極的に取り入れながら、脂質や糖質の「質」と「量」を見直すことが大切です。食事のバランスを整え、様々な栄養素を連携させることで、より効果的な改善を目指しましょう。

今回ご紹介したレシピのように、簡単で続けやすい工夫を取り入れながら、日々の食卓から健康づくりを始めてみませんか?
手軽な調理でも、食材の組み合わせや調理法で、美味しく効率よく必要な栄養素を摂取することが出来ます。まずは、いつも口にしているものを今一度見直してみて、少しずつ変えていくところから始めましょう。
美味しく、無理なく、前向きに脂質異常症対策をしていきましょう!
監修管理栄養士/衞藤 しおり(臨床分子栄養医学研究会認定カウンセラー)

大学卒業後、料理教室にて製菓・製パン・料理講師として約10年間従事。結婚・出産を機に保育園栄養士、小学校栄養士を経験。その後管理栄養士免許を取得。
家族の体調不良をきっかけに分子栄養学を学び始め、実践する中で、自身や家族の様々な不調が改善していくのを体感した。現在も学びを続けながら知識を深めている。
現在は、これまでの経験を活かし、主に特定保健指導やクリニックでのカウンセリング業務に携わっている。