目次
1.はじめに
「閉経後に骨がスカスカになるのが心配」「カルシウムのサプリだけで足りている?」――
女性は閉経を境にエストロゲン(骨代謝を守るホルモン)が急減し、骨量が年1〜2%ずつ低下します。骨粗鬆症になると、ちょっとした転倒で骨折し、その後の生活の質が大きく低下しかねません。そこで本記事では、“カルシウムだけに頼らない” 食事設計と、更年期世代でも無理なく続けられる管理栄養士オリジナルの骨活レシピをご紹介します。
2.更年期と骨粗鬆症の関係

項目 | 背景・ポイント |
エストロゲン低下 | 骨吸収(壊す)>骨形成(つくる)へ傾き、骨密度が急降下 |
骨折リスク増 | 大腿骨近位部・脊椎・橈骨の骨折が増え、要介護の一因に |
生活習慣の影響 | 運動不足・喫煙・過度の飲酒・栄養不足が拍車をかける |
ワンポイント
骨密度は 20 代でピークを迎え、その後は維持・減少フェーズ。40 代からの“骨貯金”が将来を左右します。
3.骨を守る栄養ポイント 5 か条
カルシウム 650〜700 mg/日
- 牛乳・ヨーグルト・小魚・大豆製品を3食に分散。
ビタミン D 20 µg/日
- 鮭・サバ・いわしなど脂の多い魚、干ししいたけを活用。
ビタミン K(K₂)
- 納豆1パックで1日の目標にほぼ到達。骨タンパク質を活性化。
良質たんぱく質 1.2 g/kg 体重/日
- 筋量維持で“骨にかかる力”を確保。魚・肉・卵・大豆をバランス良く。
マグネシウム & カリウムでミネラルバランス
- 玄米・ナッツ・海藻・緑黄色野菜でカルシウムの利用効率アップ。
4.骨活を助ける食材ベスト 8

食材 | 主栄養素 | 1回目安量 | 骨活ポイント |
牛乳(低脂肪でも可) | Ca 240 mg/200 mL | コップ1杯 | 乳糖で吸収率◎ |
プレーンヨーグルト | Ca, 乳酸菌 | 100 g | 朝食にフルーツ+ |
納豆 | ビタミンK₂, たんぱく | 1パック | 骨形成タンパク質を活性 |
鮭(焼き) | ビタミンD 13 µg/切身 | 80 g | 週3回目標 |
小松菜(茹) | Ca 150 mg/100 g | 1/2束 | オキサ酸少なく吸収良 |
ひじき(乾→煮) | Ca, Mg, 食物繊維 | 10 g | 作り置き副菜に |
アーモンド | Mg, 良質脂質 | 10 粒 | おやつで骨ミネラル補給 |
きくらげ(乾) | ビタミンD | 2 g | スープや炒め物に |
5.1 日モデル献立(約1,900 kcal / Ca 800 mg / V.D 24 µg / たんぱく質 75 g)

食事 | メニュー | 発骨栄養素 |
朝 | 全粒粉トースト + 小松菜スクランブルエッグ + プレーンヨーグルト&キウイ | Ca, Vit K, たんぱく |
昼 | 納豆とひじきの玄米ビビンバ丼 + わかめスープ | Ca, Vit K₂, Mg |
おやつ | 無塩アーモンド 10粒 + カフェオレ(低脂肪乳) | Ca, Mg |
夕 | 鮭ときくらげの豆乳味噌クリーム煮 + もち麦ご飯 100 g | Vit D, Ca |
就寝前 | ホットミルク 120 mL | Ca |
6.管理栄養士おすすめ! 更年期女性の骨粗鬆症予防メニュー
レシピ①:アーモンドトースト

<材料(1人分)>
- 食パン 8枚切り2枚
- アーモンドパウダー 6g(大さじ1)
- 砂糖 9g(大さじ1)
- スキムミルク 8g(大さじ1)
- 水 15g(大さじ1)
<作り方>
下ごしらえ
- パン以外の材料を混ぜる。
- パンに塗ってトースターでお好みの焼き加減になるまで焼く。(1000w3分~4分くらい)

↑混ぜるとこのようになります。
栄養価(1人当たり)
- エネルギー 298kcal
- タンパク質 11.0g
- 脂質 6.5g
- 炭水化物 51.5g
- 食塩相当量 1.1g
- カルシウム 122㎎
<POINT>
水は少しずつ入れて硬さをお好みで調節して下さい。
タンパク質のおかず1品と野菜のおかず1品プラスすると1食分のバランスがよくなります。
レシピ②:豆腐とひじきの炒り煮
大豆製品、海藻を使ったカルシウムやミネラル豊富な一品です。

<材料(1人分)>
- 木綿豆腐 80g(1/4丁)
- ひじき 2.2g(大さじ1弱)
- ねぎ 10g(1/10本)
- にんじん 15g(1/10本)
- 干ししいたけ 1g(小さめ1個)
- 枝豆 10g(10粒程度)※冷凍のむき枝豆でも可
- ごま油 1.8g(小さじ1強)
- だし汁 25g(大さじ2弱)※しいたけの戻し汁でも可
- 醤油 6g(小さじ1)
- 酒 4g(大さじ1/4弱)
- みりん 4g(大さじ1/4弱)
- 三温糖 1g(小さじ1/3)
<作り方>
1.乾燥ひじきは水で戻し、よく洗って水気をきる。干ししいたけは戻して細切り、にんじんは細切り、ねぎはみじん切り、枝豆は茹でて豆をさやから出す。
2.豆腐は電子レンジもしくは下茹でして水切りする。
3.フライパンにごま油をひき、1と2を入れ豆腐を崩しながら炒める。
4.だし汁、醤油、三温糖、酒、みりんを入れ水分を飛ばしながら炒め煮にする。


※上の写真は豆腐の下茹で、下の写真は炒めているところ
栄養価(1人当たり)
- エネルギー126kcal
- タンパク質8.2g
- 脂質6.5g
- 炭水化物9.5g
- 食塩相当量1.5g
- カルシウム114㎎
<POINT>
豆腐をしっかり水切りすることで余分な水分が出なくなり、味がしみやすくなります。
レシピ③:鮭のクリームスパゲッティ
この1品でタンパク質もカルシウムもたくさん摂れます。

↑※レシピには入れていませんがマジックソルトをかけています
<材料(1人分)>
- スパゲッティ80g
- 鮭45g(小さめ1切れ)
- 玉ねぎ100g
- 小松菜50g(1/3束)
- 牛乳150g
- コンソメ2g(小さじ1/2)
- 薄力粉9g(大さじ1)
- バター10g
- 塩、こしょう適量
<作り方>
1.鮭は焼いて身をほぐしておく。
2.玉ねぎは薄くスライス、小松菜は食べやすい大きさに切り下茹でしておく。
3.スパゲッティはお好みの硬さに茹でる。
4.フライパンにバターをしいて火にかけ、玉ねぎを入れ火が通るまで炒める。
5.玉ねぎに火が入ったら、薄力粉を入れ火を止める。全体的になじんで粉っぽさが無くなったら、弱火にかけ、ダマにならないように牛乳を少しずつ入れてよく混ぜる。

6.好みのとろみになったらコンソメ、塩こしょうで味付けし、鮭と小松菜を入れる。
7.最後に茹でたスパゲッティと混ぜ合わせて完成。

栄養価(1人分)
- エネルギー600kcal
- タンパク質26.5g
- 脂質21.4g
- 炭水化物82.1g
- 食塩相当量1.1g
- カルシウム290㎎
<POINT>
- 玉ねぎはしっかり炒めると甘味が出て美味しいです。
- ダマを防ぐために牛乳は少しずつ入れること都度しっかり混ぜること。
- 野菜たっぷりの汁物をプラスすると1食分のバランスがよくなります。
7.まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。いかがでしたでしょうか?今の自分が大丈夫だからあまり実感わかない・・・という方もいらっしゃるかもしれませんね。ですが、いずれ骨量が低下し、生活に影響を及ぼす時が来ます。年をとっても楽しく過ごせるように今のうちから骨を守る食生活を実行してみてはいかがでしょうか。今回のレシピを考える際にはどなたでも作れるようにスーパーで簡単に手に入りそうなものを意識しましたのでぜひ、作ってみてくださいね。
- カルシウム+ビタミンD+K₂+たんぱく質を「毎食」組み込むことが骨密度維持の鍵。
- 乳製品・大豆製品・魚・緑黄色野菜・海藻・ナッツをバランス良くローテーション。
- 今日ご紹介したメニューなら、無理なく推奨量をクリアしつつエネルギーも適正。
更年期は「これからの30年をどう過ごすか」を決める大切な時期。
骨を守る食事を味方に、アクティブでしなやかな毎日を手に入れましょう!
監修管理栄養士/川口香梨

武蔵野栄養専門学校 栄養学部卒業 同年に栄養士の資格を取得。
栄養士として病院で3年間実務経験を積み、管理栄養士の資格を取得。
その後保育園で給食業務、離乳食試食会、おしゃべりサタデー(休日に親子でのんびりクッキングする会)、食育戦隊タベルンジャー(劇)など子供が楽しみながら学べる食育を企画、展開。
現在は3人の子育てをしながら病院(委託会社)の提供前の食事のチェック業務、オンラインにて保健指導業務に携わっている。
健康に関して疑問や悩みをもつ人を食事で支えることが夢である